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ミシシッピ州とその大学の魅力
ミシシッピ州はアメリカ合衆国の南部に位置し、北部はテネシー州、東部はアラバマ州、南西部はルイジアナ州、西部にアーカンソー州の4つの異なる州とメキシコ湾に面する州です。面積は北海道の1.5倍ほどで、国勢調査局によると全米で32番目の広さです。
ミシシッピ州の位置
日本ではあまりなじみがないミシシッピ州ですが、どのような大学があるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
もくじ
1.ミシシッピ州とは
1-1.ミシシッピ州の気候
1-2.信仰心の篤い州
1-3.ブルース発祥の地
1-4.ミシシッピ州出身の著名人
2.ミシシッピ州の主要都市
2-1.ジャクソン
2-2.ガルフポート
3.ミシシッピ州の大学について
3-1.ミシシッピ大学
3-2.ミシシッピ州立大学
3-3.サザン・ミシシッピ大学
3-4.ミルサップス・カレッジ
3-5.ブルーマウンテン・カレッジ
3-6.トゥガルー・カレッジ
1. ミシシッピ州とは
まずはミシシッピ州の、州としての特徴を紹介しましょう。
1-1.ミシシッピ州の気候

ミシシッピの秋
ミシシッピ州は日本のように四季がありますが、長く湿度の高い夏と短く温暖な冬が特徴的です。滅多に地面が凍結することもない恵まれた気候のため、年間を通して屋外活動を行うことが可能です。
また、ミシシッピ州は雷雨が多く、ハリケーンと竜巻が発生しやすい地域として知られています。アメリカにおけるハリケーン・シーズンは6月から11月末までの半年間で、2005年8月に発生したハリケーン・カトリーナによる被害は甚大で、多くの尊い州民の命が奪われました。ミシシッピ州の竜巻シーズンは一般的に11月、3月と4月に集中しています。
1-2.信仰心の篤い州
アメリカ南部州に広がるキリスト教の影響力が強い地域は「バイブル・ベルト」と呼ばれています。2011年ギャラップが行った調査によると、ミシシッピ州は全米一信仰心が強い州と言われています。宗教的価値観が強い影響力をもっているため、政治や社会問題に対して非常に保守的です。
ミシシッピ州知事の発表によると、2018年現在ミシシッピ州には日産自動車、トヨタ自動車、横浜ゴムなど46社の日本企業が進出し、15,000人以上が雇用されており、外資系企業の国別ランキングで日本が第1位となっています。
1-3.ブルース発祥の地

ブルース・トレイル
ミシシッピ州は「ブルース音楽の生まれ故郷」と呼ばれています。
ミシシッピ州北西部に位置するミシシッピ川とヤズー川に挟まれた広大なデルタ地帯の土壌は肥沃で、綿花の栽培に適していることから、かつて多くの綿花プランテーションが開発されました。
その綿花畑の労働を支えていたのが、アフリカから奴隷として連れて来られたアフリカ系アメリカ人です。綿花畑の過酷な環境下で、奴隷の間で歌われていた労働歌が元になって誕生したのが、ブルースです。
2006年にブルース音楽の発展に重要な役割を果たした場所に「ブルース・トレイル」が設立され、ブルースの軌跡や歴史を辿ることができます。
1-4.ミシシッピ州出身の著名人
ミシシッピ州出身の著名人は「キング・オブ・ロックンロール」と呼ばれるエルビス・プレスリーを始め、「ブルースの王様」と呼ばれるB.B.キング、ノーベル文学賞を受賞したウィリアム・フォークナー、ピュリッツァー賞を受賞した劇作家テネシー・ウィリアムズ、テレビ番組の有名司会者オプラ・ウィンフリー、ポップシンガーのブリトニー・スピアーズなど多岐の分野に渡っています。
2.ミシシッピ州の主要都市
次に、ミシシッピ州を代表する都市を2つ紹介しましょう。
2-1.ジャクソン

ジャクソンにある州議事堂
ミシシッピ州の人口は298万人ほどで(国勢調査局2017年予測)、州都と州最大都市は州中央部に位置するジャクソンです。
1812年ニューオリンズの戦いで英国を負かした国民的英雄であり、後の合衆国第7代大統領となるアンドリュー・ジャクソン将軍にちなんで名づけられました。国を二分した南北戦争では主戦場となり、町は焦土作戦で幾度となく壊滅的な被害を受けました。
また、ミシシッピ州の公民権運動に尽力し、公民権運動リーダーであったメドガー・ウィリー・エヴァースがジャクソンで暗殺されたこともあり、人種対立暴動の舞台にもなったことがあります。エヴァースに敬意を表して、2004年にジャクソン国際空港がジャクソン・エヴァース国際空港に、2011年にはジャクソン・メドガー・ウィリー・エヴァース国際空港に名称が変更されました。
2-2.ガルフポート

ミシシッピ州のカジノホテル
ミシシッピ州第2の都市は州南部のメキシコ湾に面するガルフポートです。ルイジアナ州ニューオリンズから北東に車で1時間半ほどの距離にある港湾都市です。
南北戦争前後は木材製品輸出の主要拠点となり、現在では国内でトップ20に入るコンテナ港に発展しました。1969年のハリケーン・カミールと2005年のハリケーン・カトリーナが町を直撃し壊滅的な打撃を受けた地域としても知られています。
ガルフポートは冬でも暖かく、年間を通して観光客が訪れる観光地です。イルカと触れ合ったり、美しいホワイトサンドの砂浜を散歩したり、マリンスポーツを楽しんだりと楽しみかたはさまざまです。
また、1992年にカジノが解禁されて以降、ガルフポートを含むメキシコ湾岸周辺のカジノはラスベガスとアトランタに次ぐ国内3番目に大きいカジノ市場としても有名です。
3.ミシシッピ州の大学について
ミシシッピ州は物価が比較的安く、気候が温暖で住みやすい地域です。
州の大部分は田舎ですが、ジャクソン、ガルフポート、ハッティズバーグなどの都市ではエンターテインメントが豊富にあり、いろいろな音楽や芸術に親しむことができます。
また、ミシシッピ州は自然が多く、景観が美しいことから、1年を通してアウトドアを楽しむことができますし、のんびりした南部の雰囲気やホスピタリティを感じることもできます。南北戦争や公民権運動に関連した文化遺産が豊富であることも魅力の1つです。
では、ミシシッピ州を代表する大学をいくつか紹介します。
3-1.ミシシッピ大学
ミシシッピ州北部のオックスフォードに、ミシシッピ州内最大規模の州立大学であるミシシッピ大学(University of Mississippi)があります。テネシー州第2の都市メンフィスからは車で1時間半ほどです。キャンパスの美しさに定評があります。
ミシシッピ大学は全米で4番目となる州立のロースクール(法科大学院)を設立し、全米で初めてエンジニア教育を提供した大学の1校となり、南部で初めて女子学生の入学を認め、南部で初めて女性職員を雇用した大学の1校となるなど、1844年の創立以降、革新的な大学経営方針を築いてきました。世界発の肺移植と心臓移植手術が行われたのも同大学の医療センターです。
ミシシッピ大学は「Ole Miss」の愛称で親しまれています。Ole Missはプランテーションの女主人のことですが、現在ではこの言葉を奴隷制度に関連させることはなく、ネガティブな意味合いはなくなっています。
総合研究大学として研究には力を入れており、学内には各分野の20ものリサーチセンターがあり、40以上の特許を取得するなど大きな成果を挙げています。学生は100以上の専攻分野をから選択することができます。
B.B.キングのレコード・コレクションを含め、ブルース関連の資料を保管しているブルース・アーカイブを有した図書館や、文豪ウィリアム・フォークナーの作品や自宅を保存した美術館を大学が運営しています。
人気のある専攻は教養学、会計学、マーケティング、マルチメディア、初等教育などで、とくに会計学は全米的に評価の高い分野です。
3-2.ミシシッピ州立大学
ミシシッピ州北東部のスタークビルにあるのは、1878年創立で、州内2番目の規模であるミシシッピ州立大学(Mississippi State University )です。テネシー州第2の都市メンフィスから南東に車で約3時間の距離にあります。
175以上の専攻から選べることができるのは大規模大学ならではで、植物・土壌学部では、フラワーマネジメント、ゴルフ/スポーツ用芝マネジメント、害虫管理などユニークなプログラムを設けています。大学院では、獣医の分野が高い評価を受けています。
ミシシッピ州立大学のキャンパスは農場・森林試験場も完備されており、とても広大ですが、雰囲気としてはアットホームです。
3-3.サザン・ミシシッピ大学

サザン・ミシシッピ大学
ミシシッピ州南部のハッティズバーグと湾岸沿いのロングビーチにデュアルキャンパスをかまえるのが、州立のサザン・ミシシッピ大学(University of Southern Mississippi)です。「サザン・ミス」の愛称で知られています。
ハッティズバーグは、ルイジアナ州ニューオリンズから北東に車で約2時間の距離にあります。1910年に教員養成校として創立されましたが、現在では総合リサーチ大学に発展を遂げています。
ミシシッピ州の大学で唯一、聴覚学の博士プログラムと海洋工学の学士プログラムを提供しています。また、シアター、ダンス、アートデザイン、音楽など、芸術系の専攻にも強い大学です。スポーツが盛んで、とくにアメフトと野球は全米チャンピオンに輝いたことがあるほどの強豪校です。
3-4.ミルサップス・カレッジ
州都ジャクソンにあるのが、南部屈指のリベラルアーツ・カレッジ、ミルサップス・カレッジ(Millsaps College)です。
リベラルアーツ・カレッジらしく、親密でフレンドリーなキャンパスが築かれています。教授も指導熱心で、向学心が旺盛な学生たちの期待によく応えています。
かつては人種偏見が強かったミシシッピ州で、初めてマイノリティに入学許可を出した大学としても知られ、いまでもリベラルな学風が息づいています。
3-5.ブルーマウンテン・カレッジ
ミシシッピ州北部の町ブルーマウンテンにあるのが、ブルーマウンテン・カレッジ(Blue Mountain College)です。1873年創立当初は女子大でしたが、2005年以降男子学生の受け入れが始まり共学校となりました。良質なリベラルアーツ・カレッジとして、またキリスト教の理念を受け継ぐ大学として、南部ではよく知られています。
とても小さな大学で、学生数は1,000を下回るほどです。地域密着型の大学といえます。
3-6.トゥガルー・カレッジ
ミシシッピ州中央部の町トゥガルーには、リベラルアーツ・カレッジのトゥガルー・カレッジ(Tougaloo College)があります。州都ジャクソンから北に車で20分程度の距離にあります。
南北戦争終結後の1869年にアフリカ系アメリカ人の教育のために開かれた大学で、プランテーション跡に大学が建設されており、キャンパス内にプランテーションのオーナーが住んでいた建物も保存されています。
1950年代・60年代には、トゥガルー・カレッジの学生はアフリカ系アメリカ人へのサービスを拒否したレストランに対してボイコット運動を行うなど、公民権運動に積極的にかかわり、人種間の関係改善に努めてきました。
ミシシッピ州は、日本ではあまり馴染みがないかもしれません。留学先としても必ずしもポピュラーな州とはいえませんが、アメリカの南部らしさを(いい意味でも悪い意味でも)体感できる州であるとはいえるでしょう。興味がある人は、ぜひチェックしてみてください。
