大学は生徒の合格審査で何を見ているのか?
~合否決定のプロセス~
アメリカの大学の合否は、アドミッションズオフィス(Admissions Office)という部署で決められます。これは、日本の大学の教授会と異なり、入学審査に特化した専門の部署で、アドミッションズオフィサー(Admissions Officer)と呼ばれる入学審査官がアメリカの大学の入学基準で紹介したような6つの項目をはじめ、出願者をさまざまな観点から審査して合否を決定しています。
審査の面から、大学が見ているものを紐解いてみましょう。
大学が合否の決定の際見ているもの
多様性とバランス
個々の大学は、「今年の入学生はこんなグループにしたい」というイメージをまず作ります。多くの大学は多様性を重視していますから、大学の地元だけでなく、全米から、また全世界から優秀な学生をとりたいと望んでいます。ほとんどの大学にとって留学生は大歓迎です。
入学させる学生全体のバランスも考慮に入れます。「バランスのとれた人間」よりも「バランスのとれた集団」を望むのです。
また、大学側の事情が、合否に影響することもめずらしくありません。たとえば大学の方で生物学科をもっと充実させたいという場合、生物が得意な学生を多くとろうということがあります。
フェアな審査
大学によって合否の決め方はさまざまです。
基本的には、アメリカの大学は「落とそう」という姿勢ではなく、一人ひとりの出願書類をていねいに読み、可能性を探ろうとします。決して不合格を決めるための審査ではありません。むしろ、あなたの良いところを見いだそうとするのです。志願者それぞれの置かれた状況がしっかりと考慮され、フェアな審査をします。
重視するものは大学ごとに違う
一般的に大きな大学(特に州立大学)では、まずGPAやテストスコアなどの数値によるふるい分けがされ、そのうえでエッセイや推薦状などが読まれます。マンモス大学ではふるい分けは機械的になりがちです(※)。一方、私立大学や小さな大学では、エッセイが真っ先に読まれることもめずらしくありません。
アメリカ大学ランキングでも、各大学が特に重要視するものなどを参考として表示していますが、大学ごとに審査の基準は異なります。
なども参考にして、自分の行きたい大学に積極的にアピールしていきましょう。
(※近年では、州立大学でも、これまでの「数字偏重」を反省し、さまざまな観点から出願者を審査するようになってきています。)
合否決定のプロセス
アメリカの大学では、以下のような流れで、入学審査のプロフェッショナルであるアドミッションズオフィサーが合否を決定していきます。
審査にはじっくり時間をかける
- 1). 出願者の書類を個別にファイルし、情報をコンピュータに入力する
- 2). 個々の出願者を「明らかに合格」「明らかに不合格」「合格か不合格か決めかねる」の3つのタイプに分ける
- 3). 「明らかに合格」「明らかに不合格」のタイプは、アドミッションズオフィスの責任者が目を通して最終判断を下す
- 4). 「合格か不合格か決めかねる」タイプは、Selection Committeeと呼ばれるプロのグループにより、数字だけでなく、課外活動、そして「熱意」や「可能性」を含めて議論を重ねて合否を判断する
- 5). 全ての合否を決定する
実際には、「合格か不合格か決めかねる」タイプが一番数が多くなります。とくに議論されるのが、「この学生を入学させることで、大学にどのような影響を与えるか」ということです。アメリカの大学の授業は、ディスカッションを中心に展開しますので、一人ひとりの出願者の個性や価値観がとても重視されるのです。
こうしてアメリカの大学は、1~3ヶ月、あるいはそれ以上の時間をかけてじっくり審査し、合否を決定します。