留学の一番のハードル!? TOEFL®テストを詳しく解説します
TOEFL®テストとは、英語が母語でない人を対象とした英語テストで、アメリカの大学や大学院に出願する際にそのスコアを提出します。Educational Testing Service(ETS)という、非営利の教育系財団によって運営されています。「トーフル」といいます。
このページでは、留学生にとっての英語テストの代表的な存在であるTOEFL®テストについて、詳しく紹介します。
TOEFL®テストとは?
TOEFL®テストは、おもにアメリカの大学・大学院で学ぼうという人のうち、英語を母語としない人を対象とした英語能力試験です。Test of English as a Foreign Languageの略です。イギリスやカナダ、オーストラリアなど英語圏の国の大学でも、TOEFL®テストが英語力を判定する材料として使われています。
1964年に開発された歴史あるテストで、留学生のための英語テストの定番といえます。
いわゆる英語4技能:「読む」「聞く」「話す」「書く」が問われますが、その特徴は「アメリカの大学・大学院で学ぶため」のアカデミックな内容に重点が置かれていること。扱われる題材も、大学レベルの授業や教科書をはじめ、大学生活でしばしば直面するさまざまなシチュエーションです。
コンピュータで受験します。試験会場では、受験者が個々にPCに向かって、インターネットで配信される問題に答えていきます。この「インターネットのテスト」のことをiBT®(アイビーティ)といいます。iBT®では、1人ひとりが異なる設問に答えます。自分がリーディングを解いているときに、別の人がスピーキングに取り組んでいる、ということも起こりえます。
TOEFL®テストは世界中で受けられます。日本では月に複数回、年間では45回以上(おもに土・日曜日)実施されています。試験会場も都市圏を中心に全国に広がっています。何度受験してもかまいません。スコアは2年間有効です。
TOEFL®テストの内容
TOEFL®テストは、
・リーディング
・リスニング
・スピーキング
・ライティング
これら4つのセクションで構成されています。それぞれのセクションの問題数と時間は以下の通りです。
セクション | 問題数 | 時間 |
---|---|---|
リーディング | 30~40問 | 54~72分 |
リスニング | 28~39問 | 41~57分 |
スピーキング | 4課題 | 17分 |
ライティング | 2課題 | 50分 |
リーディング
アカデミックな内容の文章を読んで、設問に答えます。文章は700単語ほどです。アメリカの大学で学ぶ一般教養の科目のテキストが素材になります。理系・文系にかかわらず幅広い題材がとりあげられます。
リスニング
講義と会話を聞いて、設問に答えます。いずれもアメリカの大学が舞台です。聞きながらメモをとってもかまいません。
スピーキング
・自分の意見とその理由を述べる課題
・文章を読み、それに関連する会話を聞いて、問いに答える課題
・文章を読み、講義を聞き(または講義を聞くのみで)、問いに答える課題
これらに答えます。いずれのトピックも、大学キャンパスを舞台としています。
ライティング
・文章を読み、講義を聞き、それについて書く課題
・自分の経験や意見を描く課題
これら2つの課題が問われます。時間は前者が20分、後者が30分です。文章は手書きではなく、タイプします。
TOEFL®テストのスコア
リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングそれぞれのセクションが0~30点で採点されます。合わせると、0~120点が、TOEFL®テスト(iBT®)のトータルスコアです。
受験日の6日後にスコアを確認できます。スコアは2年間有効です。
アメリカの多くの大学が、61点以上のTOEFL®スコアを出願者に求めています。英検でいえば2級くらいのレベルです。名門大学・大学院では80以上としていたり、100以上とらないと入学が厳しいような大学もあります。
TOEFL®テストとIELTS™の比較
さて、近年は、TOEFL®テストよりもIELTS™というテストのほうに人気が集まりつつあります。IELTS™(アイエルツ)も、英語を母語としない人を対象とした英語能力テストで、おもにイギリスやオーストラリア、カナダなどの大学で用いられてきましたが、最近はアメリカの大学もIELTS™のスコアを認めるようになってきています。アメリカの大学に留学するにあたっては、TOEFL®テストかIELTS™のいずれかを受ければよい、と理解していいでしょう。どちらが有利ということはありません。
IELTS™のテストについての詳細は「IELTSについて」にまとめていますが、ここでは両者のスコア比較のみ紹介しましょう(ETSより)。
TOEFL®スコア | IELTS™スコア |
---|---|
118~120 | 9.0 |
115~117 | 8.5 |
110~114 | 8.0 |
102~109 | 7.5 |
94~101 | 7.0 |
79~93 | 6.5 |
60~78 | 6.0 |
46~59 | 5.5 |
35~45 | 5.0 |
32~34 | 4.5 |
0~31 | 0~4.0 |
IELTSとTOEFLの詳しい比較は留学生の英語テストはIELTS™とTOEFL®テスト、どちらを受けるべきか?も参考にしてください。
TOEFL®テストの受験手続
TOEFL®テストの公式サイトでアカウントを作成し、希望のテスト会場とテスト日を選択して、クレジットカードかPayPalで支払います。アカウントの作成にあたっては身分証明書が必要になります。公式サイトは英語ですから、このプロセスでつまずく人も少なくありません(それがIELTS™が好まれる一因です)。
受験申込期限は、テスト日の7日前。受験料は245ドルです。
なおコロナ感染防止対策の一環として、自宅でTOEFL®テストを受けられるようになっています。この自宅テストのことを、TOEFL iBT® Special Home Editionといいます。自宅で、インターネットに接続できるデスクトップもしくはノートPCを使って受験します。マイク、スピーカー、カメラも必要になります。
詳しくは、TOEFL®テスト日本事務局のホームページをご確認ください。
TOEFL®テストの傾向と対策
TOEFL®テストは英語の総合力を問うものですので、短期間でのスコア上昇はそれほど期待できません。何度受けてもかまいませんが、何せ受験料が245ドルという高価ですから、やみくもに受けてもお金がかかるばかりです。時間をかけて毎日コツコツ勉強するのが、結局は王道ということになります。
これまで述べてきた通り、TOEFL®テストで扱われる題材やシチュエーションは、アメリカの大学キャンパスを舞台としています。したがって、アメリカの大学レベルの一般教養科目について、その入門的な内容に(日本語でもいいので)親しんでおくのはプラスになるでしょう。
また、アメリカの大学生活においてよく見聞きする表現や用語も、覚えておきたいものです。たとえば、「履修登録」にまつわる表現を思いつくまま並べてみましょう。
Registration = 履修登録
Registrar’s Office = 履修登録を担当するオフィス
Add and Drop = 履修科目の追加・削除
Course = 科目
Prerequisite = 先修科目(あらかじめとっておかなければならない科目)
Semester = (二学期制の)学期
Credit = 単位
Graduation Requirements = 卒業要件
こういった「大学用語」は、アメリカの大学に留学すると、日常的に見聞きします。
アメリカの個々の大学のWEBサイトには、Academic Catalogというものが載っています。これは、日本の大学でいうところの便覧に近いものですが、アメリカの大学生であれば知っておきたい「大学用語」が漏れなく出てきます。このCatalogに頻出する用語は、TOEFL®テストにおいてもよく出てくると思っていいでしょう。ちょっと遠回りに感じるかもしれませんが、TOEFL®テストの教材としてはAcademic Catalogは最良です。留学の予習教材としても適しています。
ワンポイント
アメリカの大学は、合否を判定するにあたって、学校の成績やエッセー(作文)、推薦状、課外活動、面接など、さまざまな角度から1人ひとりの出願者を総合的に評価します。TOEFL®テストも、そんな評価材料の1つにすぎません。TOEFL®スコアが高ければ必ず合格する、とか、低ければ必ず落ちる、というものでもありません。「TOEFL®スコアが英語力のすべてではない」とは、アメリカの大学の入学審査官もちゃんとわかっています。
アメリカの大学に留学するにあたって英語力が重要ではない、ということではありませんが、あまりTOEFL®テストにとらわれすぎるのもよくありません。TOEFL®スコアよりも成績のほうが大切です。英語の勉強も大事ですが、まずは学校の成績をよくすることを優先させましょう。