2.アメリカの大学の編入審査

コミュニティ・カレッジに留学して、それから四年制大学に編入生として進学する際には、編入生(transfer student)として出願し、審査を受けることになります。アメリカの大学は日本の大学のような一斉の入学試験はありません。学業成績をはじめとして、さまざまな書類を多角的に審査して合否を決めます。ここでは、アメリカの大学の編入審査について解説します。

アメリカの大学には入試がない

アメリカの大学は、日本の大学のように1回の入学試験で合否を決めることはしません。そもそも入学試験というものがアメリカの大学には存在しません。

それではどのように合否を決めるのかというと、入学審査を専門に行う「アドミッションズ・オフィス(Admissions Office)」という部署がそれぞれの大学にあって、このオフィスが一人ひとりの出願者についてさまざまな書類を多角的に、時間をかけて審査して、合否を決めます。これは1年生として出願する場合でも、編入生として出願する場合でも同じです。

合否を決める六つの項目

アメリカの大学のアドミッションズ・オフィスが編入生の合否を決定するにあたって審査対象とするのは、おもに以下の六つの項目です。

これら六つの項目はいずれもアメリカの大学の合否に大きく影響するものですが、最も重視されるのは学業成績です。編入生として出願する際には、高校の成績と大学の成績が問われますが、アメリカの大学は「大学レベルの学業に取り組めること」を出願者に期待しますので、高校よりも大学の成績のほうが評価の比重としては大きくなります。

高校・大学の成績

留学というとまずは英語力、と思われがちですが、学業成績以上にTOEFL(R)テストのスコアが重視されることはありません。コミュニティ・カレッジから四年制大学へ編入する際にも、合否の決め手となるのはコミュニティ・カレッジでの成績です。日本の高校での成績があまりよくなかったとしても、コミュニティ・カレッジで挽回すれば、進路の選択肢は大きく広がります。

成績については「3.編入の決め手となる成績とGPA」で詳しく述べますので、ここではそれ以外の項目について簡単に説明しましょう。

エッセー

エッセー(essay)とは、自分自身の意見や価値観、経験などを述べる作文のことです。出願する大学に自分のことを知ってもらい、その大学に編入したい熱意を伝えるためのもので、おおむね500単語前後で書きます。自由課題である場合と、大学から課題を指定される場合とがあり、指定課題の中には、編入の動機を問うものや、希望する専攻について、また「大学に貢献できること」を問うものなどがあります。

推薦状

多くの大学では推薦状(Letter of Recommendation)を2通、提出することを求めています。大学によっては3通の推薦状が必要になることもあります。大学にとって推薦状は、学力だけでは甲乙つけがたい複数の出願者を比較する材料になります。また名門大学ほど一人ひとりのユニークな感性や際立った才能を求めるので、さまざまな観点から書かれた推薦状を読み合わせて、出願者の人物像を描こうとします。

課外活動

課外活動(Extracurricular Activities)とは、エッセーや推薦状と同じく、学業成績やテストスコアだけではうかがい知れない出願者の特徴を示すものです。とくに私立大学や名門大学で重視されます。クラブ・サークル活動、学生自治会、ボランティア、委員会活動、音楽・演劇、アルバイト、趣味など、勉強以外のことであればすべて課外活動に含まれます。いろいろなことを少しずつやるよりも、一つの活動を長く続けるほうがより高く評価されます。

テストスコア

アメリカの大学に編入生として出願する際には、大学によってはテストスコアの提出が求められます。代表的なものとして挙げられるのが、以下の三つのテストです。

TOEFL(R)テスト
英語を母語としない留学生を対象とした英語のテスト

SAT(R)
全米共通の大学進学適性テスト。リーディング、ライティング、数学の三つのセクションから成る

ACT(R)
全米共通の、学習の達成度を測るテスト。英語、数学、読解、自然科学の四つのセクションから成る

このうちSAT(R)とACT(R)はアメリカの高校生が受けるものですので、アメリカの大学に2年以上在学していれば提出不要になる場合もあります。またSAT(R)とACT(R)の両方を受ける必要はありません。いずれか一方のテストスコアを提出します。

これらのテストは、日本でいう入試とは異なります。テストのスコアだけで合否が決まるわけではありません。テストスコアと学業成績とを比べると、学業成績のほうがはるかに重要です。大学ごとに、「TOEFL(R)スコア○点以上」といった基準を設けていることもありますが、その基準点に達していなくても、学業成績がすぐれていれば、合格のチャンスは高まります。

面接

面接を必須とする大学はそれほどありませんが、名門大学ほど面接を必須とするか、「受けることが望ましい」としています。面接によって不合格になることはありません。出願する側からすれば、自分を大学にアピールできる絶好のチャンスです。

合格のチャンスを高めるために

アメリカの大学には入学試験というものが存在しませんので、受験勉強をするということもありません。合格するために最も重要なことは、在学している学校でよい成績を修めることです。一発勝負に賭けるのではなく、毎日コツコツと勉強することが大切です。アメリカの大学は、そんな「日頃の勉強の姿勢」に注目して、合否を判断します。

また学業成績だけでなく、エッセーや推薦状、課外活動なども評価のポイントになります。エッセーについては、一人ひとりのユニークな発想や視点、ものごとに対する洞察力などを、文章を通して評価します。したがって、やはり日頃から感性を磨き、言葉で表現することの練習を重ねることが大切です。よい推薦状を先生に書いていただくためにも、日頃から先生と信頼関係を築く努力が欠かせません。課外活動も、コツコツ続けていく持続性が評価につながります。

コミュニティ・カレッジから四年制大学に編入するにあたっても、合格のチャンスを高めるためには、コミュニティ・カレッジでの日々の生活を充実して送ることが、なによりも大切です。日々・日頃の積み重ねこそが、アメリカの大学に合格するためには最も重要なのです。

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