日本とアメリカの大学の違い(2)

みなさんこんにちは! 「アメリカ留学ラボ」のカイトです。このラボでは、アメリカ留学を考えている人に向けて、お役立ちノウハウやホットなニュースをお届けしています。

今回は、前回の記事に続いて日本とアメリカの大学の違いについて、留学の先輩から届いた体験談をお届けします。今回は、とくに授業にスポットライトを当ててお話しいただきました。

日本の大学かアメリカの大学かで進路を迷っている人は、ぜひ参考にしてみてください!



もくじ
1.授業のスケジュール
2.一般教養科目の位置づけ
3.専攻の考えかた
 3-1.専攻(メジャー)を変更することができる
 3-2.メジャーを2つとることができる
 3-3.副専攻(マイナー)をとることができる
 3-4.入学のときに専攻を決めなくていい
4.単位の移行
5.授業スタイル
6.インターンシップvs卒論


1.授業のスケジュール


アメリカの大学と日本の大学では、まず授業のスケジュールが異なります。

アメリカの大学では1学期(9~12月の「秋学期」1~5月の「春学期」)それぞれに4~6科目を登録します。1科目の授業スケジュールは、50分×3回/週とか、75分×2回/週とかです。科目によっては、夕方の5・6時から3時間ぶっとおしというものもあります(さすがに金曜日の夜に授業をする教授はいません(笑))。夕方に行われるのは、大学院の授業や、仕事をもっている人が多く学んでいるビジネス系の授業が多いようです。

一方、日本の大学では、1学期にだいたい10~15科目くらいを登録します。そして、1つの科目について、90分の授業が週に1回あるというのが一般的なスケジュールです。




2.一般教養科目の位置づけ


アメリカの大学では、専攻にかかわらず、リベラルアーツ(一般教養)の科目をしっかりとらなければなりません。

私の大学では、アメリカ人学生・留学生ともに、英語のライティングとスピーチの科目が必修です。その他の一般教養科目として、生物学や化学、心理学や音楽など、さまざまな分野の科目をとる必要があります。

<政治学を専攻している学生がスポーツ科学の基礎科目を受けたり、文学を専攻している学生がビジネスの基礎科目を受けたりというように、異なる専攻の学生が、専門分野を越えて交流する機会がアメリカの授業では多く見られます。

私自身も、心理学やスポーツ医学、社会福祉など、多種多様な専攻の学生と一緒に授業を受けました。自分の知らない分野を学んでいるクラスメイトから、その専攻の内容や将来の夢などを聞くことができて、とてもいい刺激を受けましたよ。

日本の大学では、自分の専攻や学部以外の分野を学ぶ機会は少ないと思います。1・2年生が学ぶ基礎科目も、特定の専攻の基礎科目であることが一般的です。たとえば、スポーツ学部が開講している経済学は「スポーツ経済学」であったり、数学は「スポーツにおける数学」であったりなどです。

日本の大学では他学部の科目を受講する必要はありません。むしろ他学部の科目は、その学部の学生が優先されるため、なかなか履修登録できないこともあると思います。そのため、学部を越えた学生同士が交流する機会はあまりありませんが、同じ専攻を学んでいる学生とであれば、共通の興味や話題について深く語り合うことができるでしょう。


3.専攻の考えかた




アメリカは「自由」の国。専攻の考えかたもとても自由です。これはアメリカの大学の大きなメリットだと思います。ここでは、

1.専攻(メジャー)を変更することができる
2.メジャーを2つとることができる
3.副専攻(マイナー)をとることができる
4.入学のときに専攻を決めなくていい


という4つの大きなポイントについてお話ししましょう。


3-1.専攻(メジャー)を変更することができる


大学で専攻するつもりだった分野の授業を実際にとってみたら、あんまり興味がないことに気づいたとか、他のメジャーの授業をとって、その分野に興味が湧いた、といったことはよくあります。

そんなときにアメリカの大学では、簡単な手続をすれば、専攻を変更することができます。卒業までの期間が少し延びたり、1学期に登録する科目を増やさなければならないこともありますが、本当に自分が興味のあることに打ち込めるのであれば、それほどたいしたことではないでしょう。

近年のアメリカの大学では、2人に1人の学生が在学中に1回はメジャーの変更をすると言われています。それくらいメジャーを変えることがアメリカでは当たり前なんですね。

私の友達には、メジャーを8回変えた人がいます! 8回ですよ!! いろいろなことに興味があったんでしょうね~。卒業するのに何年かかったか疑問ですが、その人曰く、メジャー変更の手続をする事務の人に顔を覚えられ、「いらっしゃ~い」と言われるようになったみたいです。


3-2.メジャーを2つとることができる


たとえば経済学とビジネスを両方学びたいとか、2教科の教員免許を取得したいといった場合、アメリカの大学ではダブルメジャーといって、2つの専攻をもつことができます。

どのメジャーであってもリベラルアーツの必修科目は共通です。ですから、メジャーの必修科目だけ2つの分野をとることになります。したがってダブルメジャーをとっても、あまり無理なく4年で大学を卒業できます。ただ、異なる分野を1度に勉強しないといけないので、頭がパンクしないように整理することは必要です。


3-3.副専攻(マイナー)をとることができる


ダブルメジャーにするほどの興味はないけれど、メジャーとは別にもう1つ勉強したい分野があるときや、メジャーに役に立つ分野を勉強したいときなどは、副専攻(マイナー)をとることができます。

マイナーはメジャーよりも必修単位が少ないため、ダブルメジャーに比べると負担は小さくなります。私も、心理学をメジャーとして学びながら、教育学をマイナーで勉強していました。

コンピュータ・プログラミングをメジャーで勉強しながら、将来起業する時のために経営学をマイナーとして勉強している学生や、健康スポーツ学をメジャーとして、栄養学をマイナーで学んでいる人もいましたよ。

日本の大学でも、副専攻をとったり学部転入ができる大学や学部が増えてきましたが、実際にそれらを行う学生はごくまれではないでしょうか。アメリカの大学ではごくごく普通のことです。


3-4.入学のときに専攻を決めなくていい


アメリカの大学では入学するときに専攻を決めなくてかまいません。

1・2年生のときに一般教養の授業を中心に勉強して、何を本格的に学びたいかを決めていくということになります。専門的なメジャーを決めることができない場合は、「リベラルアーツ」というメジャーで卒業することもできます。いろいろな分野を広く浅く学びたい人のためのメジャーです。


4.単位の移行




大学によっていくらかルールは異なりますが、四年制の州立大学に在学している学生は、近くのコミュニティ・カレッジ(公立の二年制大学)で単位をとることができます。

私の大学では、コミュニティ・カレッジで学べるのは一般教養の科目で、だいたいオンラインでの授業でした。少し事務的な手続があったり、成績のつけかたや学期制が異なっていたりしますが、事前に確認しておけば、単位の移行はむずかしいことではありません。

では、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学といった有名な大学の授業がとれるのか? と思う人もいるかもしれません。残念ながら、それはまた別の話になります。コミュニティ・カレッジは厳しい入学条件がないため、基本的にだれでも授業をとることができるのです。

前回の記事にも書きましたが、アメリカの大学は3か月のなが~い夏休みがあります。その間にコミュニティ・カレッジで単位を稼いでおこうという学生もたくさんいます。ほとんどの授業がオンラインですから、夏休み中に母国やホームタウンに帰る学生でも、インターネットを使える環境がありさえすれば、授業を受けることができます。


5.授業スタイル




授業のスタイルは、大学の特徴や大きさ、クラスの人数や教授の教えかたによって異なるので、一概に言うことはできませんが、私の経験から日米の大学の授業スタイルの違いをお伝えしたいと思います。

私が留学している大学は、研究より学生の育成に力を入れている中規模の総合大学です。一般教養科目の授業には、20~30人ほどの学生がいて、教授がパワーポイントを使いながら講義するスタイルが多いです。課題は、学期内に数回行われるチャプター(教科書の「章」)テスト、中間テスト、学期末テストのほかに、授業の内容に関連したペーパー(レポート)の提出が主です。

一方で専攻科目の授業では、15人に満たない学生と教授が、ディスカッションを通して意見交換しながら学習していくという形式が多くなります。2、3人でのグループプレゼンテーションや、1人でのプレゼンテーションなど、クラスに積極的に参加することも求められます。課題も、テストやリーディングよりも、クラスでどれだけ積極的に発言するか、どれだけクラスメイトと意見交換するか、というコミュニケーション能力が必要とされるものが多くなります。

アメリカの大学では、小さいクラスではとくに、学生がよく発言します。教授の説明でわからなかったこと、疑問に思ったこと、教授の意見に反対のときや授業の内容に関連した自分の知識を共有したいときなど、授業を遮ることにあまり遠慮することなく発言します。教授もそのような発言に対して喜んで答えてくれます。教授はだいたいフレンドリーで、「何かわからないことがあればいつでも聞いてね」と言ってくれて、学生と教授との距離がとても近く感じます。私は、アメリカの大学で、ただひたすら教授の講義を聞くという授業は受けたことがありません。

私が通っていた日本の大学は研究を中心とした大規模な総合大学でした。基礎科目の授業は大講堂で行われ、教授の講義を50~100人の学生がひたすら聞くということが多かったです。出席点やペーパーがあるクラスもありますが、ほとんどは学期末にある期末テストの結果で成績が決まります。専門の科目では学生数は20~30人に減り、教授の講義のほかに、グループワークが学期内に1、2回あるといった感じでした。クラスメイトや教授とかかわり合う機会はあるものの、アメリカの大学に比べたら、とても少ないものでした。教授と話をすることもあまりなく、距離を感じていました。


6.インターンシップvs卒論




アメリカの大学は、経験重視です。経営学や経済学、教育学などの専攻では、インターンシップが必修になっています。授業で学んだことを、いかにして実践の場で活かすかということが重視されているのです。

インターンシップ先には、直属で指導してくれる人がいるので、失敗したり、わからないことがあったりというときは、すぐに相談ができる環境が整っています。

インターンシップを通して、授業で学んだ知識や技術をスムーズに実際の現場に応用する方法を学ぶことができるので、大学を卒業する際には、即戦力として社会に貢献できるという自信をもつことができると思います。また、このようなインターンシップの経験は、履歴書に書くことができるので、就職活動のときに大きなアドバンテージになりますよ。

日本の大学では、研究室(ゼミ)に所属し、卒業論文を書くことが必修となっていることが多いと思います。1研究室が10~15人ほどの学生で構成されていて、多くの場合、大学院生が2、3人、教授の補佐をしています。

ゼミでは、ある専門的な分野を、深く深く学んでいきます。教授による一方的な講義というより、各自で見つけたその分野の論文や記事を、他のゼミ生や教授と議論し合ったり、プレゼンテーションを行ったりします。

大学や学部によって異なりますが、だいたい2・3年生のときに自分の興味のある研究室に入ります。4年生になると卒論に向けて、自分でテーマを決め、データを集めたり、論文を探したりして、30~40ページほどの長い論文を書きます。おそらくほとんどの学生がそれ以降、そのような長い文章を書くことはないでしょう。


以上、私が体験した日米の大学の違い ~授業編~でした。みなさんにとって、日本の大学とアメリカの大学、どちらが適していると思いますか? 前回も述べましたが、いずれかの大学が絶対にいいということはありません。日米いずれの大学にかかわらず、自分の将来や勉強スタイルに適している大学を見きわめることが大事だと思います。

留学する人も日本の大学に進学する人も、ぜひ後悔のない選択をしてください!
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