アメリカの大学の願書って何を書けばいいの? 詳しく解説します

2017年、あけましておめでとうございます! 「アメリカ留学ラボ」のカイトです。このラボでは、アメリカの大学への留学をめざす人のために、役立つノウハウやホットなニュースをお届けしています。

今回は、アメリカの大学の願書の書きかたについてお話しします。



アメリカの大学の出願時期

日本では、1月14日と15日にセンター試験が実施されました。大寒波の中、受験した人はお疲れさまでした! これから二次試験や一般入試を受けなければならない人もいるでしょう。なかなか気が抜くことができずにたいへんだと思いますが、春はもうそこまで来ています。体を大切にして乗り切ってください!

ところで、以前の記事でお話ししましたが、アメリカの大学の出願ピークも、1~3月くらいにやってきます。日本でセンター試験が行われた1月15日を出願期限としている大学もたくさんあります。

ただ、日本の大学は4月に新年度が始まりますが、アメリカの大学の入学時期は9月です。出願から入学までの時間はアメリカのほうがうんと長いということになります。

アメリカの大学には一斉の入学試験がありません。ですから、いわゆる「受験」というものも存在しません。その代わりに「出願(Application)」という言葉を使います。

それぞれの大学にアドミッションズ・オフィス(Admissions Office)という入学審査を行う専門の部署があって、
・願書
・成績表
・エッセー(作文)
・推薦状
・テスト(TOEFL®テスト、SAT®など)
・奨学金申請書
これらさまざまな書類を、さまざまな角度から、時間をかけて審査して合否を判断します。

一人ひとりの出願者について、学力だけでなく、課外活動の実績や将来の目標、先生からの評価など、ていねいに評価して合否を決めるので、審査に時間がかかるのです。合否が出るのはだいたい3~5月くらいです。

……ここまでは、前回に書いた記事のおさらいです。次に本題である、願書についてお話ししましょう。

700の大学に共通して使える願書――コモン・アプリケーション



アメリカの大学に出願するにあたって、まず必要となるのが「願書(Application Form)」です。この願書は、
・各大学のホームページでオンライン入力する
・各大学のホームページからPDFでダウンロードして記入したものを送付する
・(州立大学であれば)州ごとに共通のフォームに入力する
といった、いくつかの記入・送付方法があります。

とはいえ、アメリカの大学の願書といえば、やはりコモン・アプリケーション(Common Application)をその代表的なものとして挙げなければなりません。

このコモン・アプリケーションは、全米700に近い大学に共通して使える願書です。コモン・アプリケーションのWEBサイトでアカウントをつくることで、この願書を使えるようになります。すべてオンラインで記入します。

ハーバード大学やスタンフォード大学といった名門大学も、このコモン・アプリケーションで出願できます。


コモン・アプリケーションの記入項目

コモン・アプリケーションの記入項目はおおよそ以下の通りです。私たち日本人にはちょっとわかりにくい項目もあると思いますが、まずは項目だけを並べてみましょう。

プロフィール

・氏名
・過去に使用していた他の氏名(旧姓など)
・性別(特記事項があれば記述する)
・生年月日
・自宅(実家)住所
・大学からの郵便物を受け取りたい住所
・現住所
・Eメールアドレス
・連絡する電話は携帯か自宅のどちらがよいか
・その電話番号
・その他の電話(なし・携帯・自宅のいずれかを選択)
・その電話番号
・信仰する宗教
・アメリカの軍での地位
・ヒスパニックまたはラテンアメリカ系か
・人種
・出生国
・出生地
・アメリカに住んだ年数
・アメリカ国外に住んだ年数
・言語(第一言語か否か・話せる・読める・書ける・家で話す、いずれかにチェック)
・市民権のステータス
・市民権をもつ国
・アメリカのビザの有無
・ビザを新規取得あるいは更新する場合、そのビザの種類
・奨学金についての情報を希望するか否か
・出願料の支払が困難か否か

家族

・両親の配偶関係
・どちらの親またはだれと暮らしているのか
・子どもがいるか、いる場合何人か

親について
・存命か否か
・敬称(Mrs. Dr. Mr. Ms.など)
・氏名
・出生国
・職業
・雇用状況(雇用中または失業中)
・肩書き
・大学に雇用されている(いた)か否か
・学歴
・在籍した学校の数
・大学名
・取得した学位
・取得年

兄弟姉妹について
・名前
・年齢
・関係(兄弟・姉妹のいずれか)
・学年
・取得(予定)学位
・大学名
・大学入学年月
・大学卒業年月

教育

・在学校(直近の卒業校)名/住所
・入学年月
・ボーディングスクール(寮制の学校)か否か
・その学校を卒業した(する予定)か否か
・卒業(予定)年月日
・カウンセラーの敬称(Ms. Dr. Mr. など)
・カウンセラーの氏名
・カウンセラーの肩書き
・カウンセラーのEメールアドレス
・カウンセラーの電話番号
・他の学校に在学したことがあれば、その数と学校名、在学期間
・大学出願プロセスにおいて、無料で第三者機関の指導を受けたことがあれば、その数(機関名、指導者名、その肩書き、Eメールアドレス、電話番号)
・高校の就学進度が遅れたり妨げられたりした場合、その理由(中退、転校、休学など)
・9年生(日本の中3)以降、大学レベルの科目を履修したことがある場合、その科目数と大学名、科目の種類、時期
・学年順位
・同学年の生徒数
・累計GPA(成績平均値)
・GPAは何段階か
・GPAは加重平均したものか
・今年度、何科目履修しているか(科目名、科目の難易度、学期の種類などを記入・選択)
・9年生以降、成績で表彰されたことがあればその数(賞名、受賞した学年、その賞が学校内・州/地域・全国・国際いずれのレベルであるか)
・将来の希望の職業
・取得したい最高位の学位

テスト

・ACT®、SAT®、SAT®教科別テスト、AP、IB、TOEFL®テスト、PTEアカデミック、IELTSなどのスコアを自己申告したいか(したい場合、それぞれのテストを受けた回数と今後受ける回数、各スコアと受験日などを記入・選択)
・留学生のみ:その国の教育制度では、進学にあたり中・高等学校修了時に州や国の試験を受けなければならないか否か(ある場合、試験の内容)

課外活動

課外活動について申告したい場合、それぞれの活動について
・活動の種類
・役割・リーダーシップ
・活動の内容・表彰経験・実績などを簡潔に記述
・参加した学年
・参加した時期(学期中、休暇中、通年のいずれか)
・1週間に費やした時間数
・1年間に費やした週数
・大学でもこの活動に参加したいか

エッセー

650単語以内で、以下からトピックを選んで記述
・ほかのだれでもない出願者としてのバックグランドやアイデンティティ、興味、才能について
・失敗した出来事について。その影響や、そこから学んだこと
・ある信条や見解に異議を唱えたことについて。その理由、現在はどう考えているか
・解決した/解決したい問題と、その解決手段について
・子どもから大人への成長のきっかけとなった功績や出来事について

その他

9年生以降、素行不良が原因で仮進級、停学、退学になったことがあるか(ある場合は要説明)


「あなたにとって大事なこと」とは

ハーバード大学の寮

以上に列記したのが、コモン・アプリケーションの共通部分の記入項目です。これらの項目を埋めるだけでも、たいへんな作業であることがおわかりいただけたかと思います。

大学によっては、これらに加えて、その大学が独自に記入項目やエッセーの課題を設けています。

たとえばハーバード大学であれば、入学希望時期や専攻したいと考えている分野、課外活動の内容の記述などです。また追加のエッセーも受け付けています。留学生に対しては、出身国での面接について問う項目や、「大学教育を将来いかに活用するつもりか」を書かせる課題もあります。

スタンフォードも独自の記入項目がありますが、特徴的なのは、50単語以内で「好きな本や作家」「読んでいる新聞や雑誌」などを問うものや、100~250単語で書かせるショートエッセーの課題がいくつもあることです。このうちの一つは“What matters to you, and why?”(あなたにとって大事なことは何か。それはなぜか)となっています。シンプルで深い問いかけです。これを少ない文字数で、説得力と魅力を込めて書くのは至難のワザといわなければなりません。


願書は合否に影響するか?

上に記した記入項目のうち、わかりにくいものもあったと思います。どう書くのが正しいのか、あるいはより望ましいのか、ちょっと見当がつかないものもあったのではないでしょうか。

たしかに願書の書きかたには「コツ」があります。

アメリカの大学はさまざまな書類をさまざまな角度から評価して合否を決めます。願書もその書類の一つです。合否を左右する重要な書類です。

あてはまる留学生はそれほどいないかもしれませんが、たとえば親がその大学の卒業生(または教職員)であれば、優先的に合格することは大いにあり得ます。また両親ともに学歴は低いのに出願者の高校の成績がすばらしいという場合なども、アドミッションズ・オフィスの目を惹くことになるでしょう。

また課外活動も、アメリカの大学が合否を決めるポイントになります。学業「以外」の面での、出願者のリーダーシップや忍耐力、協調性といった資質がうかがえるからです。

名門大学ともなれば、世界中からたくさんの出願者がコモン・アプリケーションを利用して願書を出してきます。高校の成績はよくて当たり前、テストスコアも高くて当たり前、という出願者同士の競争になります。出願書類をつうじていかに自分を目立たせるかということが合格を勝ちとる大きなポイントになるのです。ただ記入項目を埋めるのではなく、しっかり自分をアピールできる魅力的な出願書類をつくることが大切です。


留学教材としてのコモン・アプリケーション

アメリカの700もの大学に共通して使えるコモン・アプリケーションは、オンラインで入力・修正が簡単にできることもあって、とても便利なものです。

海をへだてた日本の留学生にとって、インターネットの恩恵は計り知れません。かつては国際便で願書を取り寄せ、タイプライターで入力し、また国際便で送付するということをしていましたが、そんなのはもう昔話になりました。

一方で、この便利なコモン・アプリケーションのおかげで、一人当たりの出願校の数が増えているという現象も起きています。やみくもに願書を出しまくる、というのは決していい結果をもたらしません。「チャレンジ校」「レベル相応校」「すべりどめ」をそれぞれ厳選して、一つひとつの大学の願書作成に心をこめてとりかかるべきです。


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とくに名門大学ほど、出願書類も複雑で、エッセーの課題も多くなります。出願書類の作成だけでも相当にエネルギーのかかるものです。

やはり早めの留学準備が、魅力的な出願書類づくりのカギを握ります。現時点(2017年1月)では、2017年度に入学するためのフォームにしかアクセスできませんが、2018年度以降の留学を考えている人も、記入項目に慣れ親しむのは早いほうがいいので、ぜひ練習だと思って、コモン・アプリケーションの入力を試してみてください。アカウントをつくること自体はそんなにむずかしくありません。項目や質問内容の意味を知るだけでも、アメリカ留学の予習になるはずです。


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当サイトの運営元である栄 陽子留学研究所では、出願に先立って、個人カウンセリングやセミナーを通じてコモン・アプリケーションの記入方法を指導しています。志望校選びや出願書類の作成をつうじて、留学中に何度も耳にするはずの重要なボキャブラリーが身についていきます。カウンセラーたちは合格を引き寄せる出願書類作成のエキスパートばかり。ぜひご相談ください。
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