留学先として魅力に満ちる――アメリカの小さな大学ベスト10
みなさんこんにちは! 「アメリカ留学ラボ」のカイトです。このラボでは、留学に役立つ情報や最新の留学トレンドなどをお伝えしています!今回は、アメリカの小さな大学ベスト10をご紹介します。
今回ご紹介するベスト10の大学は、America Unraveledという情報サイトが選んだものです。このサイトは、学生数が3,000人以下の小規模大学について、
・合格率
・1年度にかかる費用
・卒業時に学生がかかえる負債額
・卒業生の初任給
・US News(※1)によるリベラルアーツ・カレッジ(※2)のランキング
などをもとにして、全米のリベラルアーツ・カレッジを調査して、独自のベスト10を発表しています。
さっそく10位の大学からご紹介しましょう。
(※1)US Newsのランキング:US News and World Report(通称US News)という大手メディア会社による“Best Colleges”という全米の大学ランキング。年に1度発表される。アメリカで最も有名かつ影響力のある大学ランキングといわれている。
(※2)リベラルアーツ・カレッジ:小規模で私立の四年制大学。全米に600校ほどあり、幅広い教養とバランスのとれた視野をはぐくむことに力を入れている。学生たちは寮生活を送り、将来のリーダーとしての素地を養う。
10位 ウィットマン・カレッジ Whitman College(ワシントン州)
ウィットマン・カレッジはワシントン州のワラワラという町にある学生数1,500人ほどの小さなリベラルアーツ・カレッジです。キャンパスが美しいことで知られ、自然公園のようなたたずまいをしています。授業はディスカッションが中心。すべての1年生に必修のEncountersというプログラムでは、さまざまなテキストをもとに少人数のクラスで議論を重ね、知的探究を深めます。90日かけて草原、山岳、森林、渓谷など約10,000マイルの距離にわたり、広大な西部の地をキャンプしながら移動して、実体験的に学ぶプログラム(Semester in the West)が有名。アウトドア派にはもってこいのリベラルアーツ・カレッジです。9位 ケニオン・カレッジ Kenyon College(オハイオ州)
ケニオン・カレッジは、オハイオ州で最古の私立大学で、1824年に設立されました。ガンビアという小さな町に位置し、学生数は1,700人ほど。そのほとんどが寮生活を送っています。指導熱心な教授たちが、この大学の一番の自慢の種で、教室内外で学生と接して「共に学ぶ」環境づくりに大きな役割を果たしています。学生と教員の数の比は10:1。一人ひとりの学生の個性と長所を引き伸ばす教育がされています。人気の専攻は文学を筆頭に経済学や政治学などで、伝統的に「アカデミック」と呼ばれる分野が好まれるところに、リベラルアーツ・カレッジらしさが感じられます。1957年から翌年にかけて、作家の庄野潤三が研究員としてこの大学に滞在したことはあまり知られていないかもしれません。当時の思い出が、彼の「ガンビアの春」と「懐かしきオハイオ」という本に綴られています。8位 ブリンマー・カレッジ Bryn Mawr College(ペンシルバニア州)
ブリンマー・カレッジはペンシルバニア州にある小さな女子大で、名門女子大7校から成る「セブンシスターズ」の1校です。近隣のペンシルバニア大学、ハバフォード・カレッジ、スワースモア・カレッジと提携していて、学生はこれらの大学でも授業を受けることができるので、女子大とはいうものの、かなり開かれた教育環境が整っています。全米で初めて博士課程を設けた女子大として知られ、向学心が旺盛な女子学生たちが切磋琢磨しあう、活気に満ちたキャンパスです。日本では何といっても津田梅子が学んだ大学として有名で、ここでの経験が津田塾大学の創立につながったことは、日本の教育史に彩りを添えています。
7位 ベロイト・カレッジ Beloit College(ウィスコンシン州)
ベロイト・カレッジはウィスコンシン州のベロイトという小さな町にある小さなリベラルアーツ・カレッジで、学生数は1,300人ほど。もともとはイェール大学の卒業生たちが、中西部にもイェール同様の、伝統的で質の高い教育を広めたいという思いのもとに設立されました。ニューイングランド地方に息づいていた伝統的なリベラルアーツ教育を、この大学はいまも継承しています。緑豊かなキャンパスで在学生の9割以上が寮生活を送るというのもそのあらわれといえるでしょう。国際化に熱心で、留学生の受け入れにも前向きです。人類学と地学の分野が有名ですが、文学やアートでもレベルの高いカリキュラムを設けています。ウィスコンシン州はドイツ系の移民が多い州で、ビールが有名です。ベロイト・カレッジの中にもパブがあります。
6位 センター・カレッジ Centre College(ケンタッキー州)
センター・カレッジは南部屈指の名門リベラルアーツ・カレッジです。学生数は1,400人ほどで、やはり伝統的なリベラルアーツ・カレッジらしく、100%近くの学生が寮生活を送っています。8割以上の学生が留学プログラムに参加し、またすべての学生が4年間で卒業することを保証しているという際立った特徴があります。もし4年で卒業できない場合は、5年目の学費は大学が負担するそうです。2000年と2012年には、副大統領候補のテレビ討論会を主催して、その名を全米に知らしめました。卒業生たちの愛学心が強く、寄付金がよく集まることでもよく知られます。ケンタッキーという土地柄ゆえか、日本ではあまり知られていない「隠れた」名門大学です。5位 アマースト・カレッジ Amherst College(マサチューセッツ州)
「アーモスト・カレッジ」とも表記されるこの大学は、アメリカの代表的なリベラルアーツ・カレッジです。ウィリアムス・カレッジ、ウェズリアン大学とつねに全米トップの座を競い合っています。必修科目や一般教養科目を設けず、850以上の科目の中から学生が自主的に科目を選んでカリキュラムをつくりあげるという「オープンカリキュラム」がよく知られます。近隣のスミス・カレッジ、マウント・ホリヨーク・カレッジ、ハンプシャー・カレッジ、マサチューセッツ大学アマースト校でも授業を受けられ、全米有数の学園都市アマーストには、つねに学生たちの活気にあふれています。日本とかかわりが深く、古くは内村鑑三や新島襄が学び、新島がこの経験を生かして同志社大学を創設したことはよく知られています。
4位 ボードウィン・カレッジ Bowdoin College(メイン州)
ボードウィン・カレッジは、メイン州にある学生数1,800人ほどのリベラルアーツ・カレッジです。大西洋に面した美しいキャンパスは、生きた自然教育・環境教育の場になっていて、課外活動でも大自然を満喫する遠足が人気です。大自然に抱かれてのびのびと勉強したいという人には最適ですが、自然以外の娯楽はあまり期待できないようです。政治学や経済学など、伝統的に「アカデミック」と呼ばれる分野に人気が集まりますが、じつはロボット工学の分野も有名で、ロボットによる国際サッカー大会で優勝したこともあります。日本ではあまり知られていない大学ですが、フランクリン・ピアス第14代アメリカ大統領をはじめ、数々の逸材がこの大学から巣立っています。
3位 スワニー:サウス大学 Sewanee: The University of the South(テネシー州)
スワニー:サウス大学は、センター・カレッジとともに、アメリカ南部屈指の名門リベラルアーツ・カレッジとしてよく知られます。学生数は1,600人ほどで、ほとんどの学生が寮生活を送っています。13,000エーカー(東京ドーム1,125個分!)という広大なキャンパスは、ほとんど自然公園というべきもので、キャンパスにいながらアウトドアを満喫できるというぜいたくさ。環境学や森林科学をはじめとする自然科学の実習の場としても生かされています。やや保守的ともいえる学風があって、男子学生はジャケットとネクタイを着用して授業に出るという伝統がありましたが、いまはそこまででもないようです。大学の正式名はあくまでもThe University of the Southで、長らく愛称として「スワニー」(大学が位置する町の名前)という名で親しまれてきたので、このような大学名の表記をしているそうです。2位 カールトン・カレッジ Carleton College(ミネソタ州)
カールトン・カレッジは中西部有数の名門カレッジで、「隠れたアイビー大学(Hidden Ivy)」といえばまず筆頭にかかげられる大学です。学生数は2,000人あまりで、ほぼすべての学生が寮生活を送っています。めずらしくトライメスター制(3学期制)をとる大学で、1学期は10週間から成り、学期ごとに3科目ずつ集中的に学ぶのが特徴。指導熱心な教授陣に定評がありますが、学生たちがとても勉強熱心であることでも知られます。卒業後に博士課程まで進む学生の割合の高さでいえば、全米の大学でトップを争います。自然に抱かれた広大なキャンパスには、さらに880エーカー(360ヘクタール)の樹木園が隣接し、息抜きやレクリエーションの場として、また環境学をはじめとする自然科学の実習の場として活用されています。
1位 グリネル・カレッジ Grinnell College(アイオワ州)
グリネル・カレッジは、アイオワ州のグリネルという小さな町にある、小さな名門リベラルアーツ・カレッジです。学生数は1,700人ほどで、9割の学生が寮生活を送っています。公共性・社会性を重んじる学風があって、ボランティアに参加する学生が多いことで知られます。学生たちはとても勉強熱心で、大学も学生たちの自主性を尊重しています。カリキュラムの自由度が高く、一般教養の必修は、Tutorialと呼ばれる「大学での学習方法を身につける」科目以外はありません。伝統的なリベラルアーツ教育に加えて、実践的な指導にも力を入れていて、学生たちは学びながら「リアルワールド」を体感します。国際化にはとても前向きで、在学生の18%を留学生が占め、在学中に他国に留学する学生もたくさんいます。US Newsの大学ランキングと比べると
以上、America Unraveledという情報サイトがセレクトした「アメリカの小さな大学ベスト10」をご紹介しました。いずれも負けず劣らずの名門リベラルアーツ・カレッジです。さすがに難関校ばかりですが、留学先としての魅力に富んでいます。とはいえ、いわゆる「大学ランキング」は、選ぶ基準によってその順位は変わります。このことは留学を志す人がつねに注意しておきたいことではあります。志望校選びにおいては、ついランキングに引きずられてしまいがちになりますが、留学先を選ぶ基準はほかならない留学生本人です。「私にとってナンバー1」の大学とはどういう大学なのか、よく自らに問いかけることが大切です。
今回ご紹介したベスト10で、おやっ? と思うのは、センター・カレッジとスワニーでしょうか。いずれも南部の大学です。もちろん南部だからレベルが低いわけではありません。でも今回のベスト10の指標として、「費用」がクローズアップされていることを思うと、これらの大学がベスト10入りしているのは、ニューイングランド地方の名門と呼ばれるリベラルアーツ・カレッジに比べると、相対的に費用が安いからかもしれません。
ご参考までに、アメリカで最も有名な「大学ランキング」である、US Newsによるリベラルアーツ・カレッジベスト10(2017年度版)を以下に載せておきましょう。
1位 ウィリアムズ大学
2位 アマースト大学
3位 ウェルズリー大学
4位 ミドルベリー大学
5位 スワースモア大学
6位 ボードウィン大学
7位 カールトン大学
7位 ポモナ大学
9位 クレアモント・マッケンナ大学
10位 デビッドソン大学
こうして見ると、このUS Newsのベスト10と、今回ご紹介するベスト10の両方にランクインしている大学は、じつは3校しかないのですね。基準が変わればランキングも変わるということがおわかりいただけたかと思います。
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アメリカは、ハーバード大学やスタンフォード大学といった、私たち日本人にはおなじみの名門総合大学がしのぎをけずっている一方で、こうした小さなリベラルアーツ・カレッジも、たしかな存在感を示しています。
アメリカ留学の魅力の一つが、大学の選択肢が多いことであるのは間違いありません。多様な大学がそれぞれの個性と長所を生かして、それぞれにユニークな教育を実践しているのが、アメリカの大学です。
今回ご紹介した大学について詳しく知りたい人は、ぜひ「アメリカ大学ランキング」でチェックしてみてください!!(大学名をクリックすると、その大学の詳細なデータを見ることができます)
・グリネル・カレッジ
・カールトン・カレッジ
・スワニー:サウス大学
・ボードウィン・カレッジ
・アマースト・カレッジ
・センター・カレッジ
・ベロイト・カレッジ
・ブリンマー・カレッジ
・ケニオン・カレッジ
・ウィットマン・カレッジ
引用・参照元
America Unraveled: The Top Ten Small Colleges in the US
投稿日:2017年02月16日(Thu)
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