アメリカ留学を映画で予習! マーチングバンドのパフォーマンスに息をのむ 『ドラムライン』
みなさんこんにちは! アメリカ留学ラボのカイトです。このラボでは、アメリカ留学の夢をかなえたい! という人たちのために、ホットな情報や留学に役立つノウハウを発信しています。今回は、「アメリカ留学を映画で予習する」シリーズとして、『ドラムライン(Drumline)』(2002年)という映画をご紹介します。ドラムラインとは、アメリカのマーチングバンドの鼓手隊のことをいいます。音楽が好きな人にはとくにオススメの映画です。
主人公はハーレム出身の天才ドラマー
ニューヨークのハーレムで育ち、ドラマーとしての腕を買われてアトランタのA & T University(North Carolina A & T Universityがモデルの架空の大学)に入学したデヴォンという青年がこの映画の主人公です。A & T Universityはマーチングバンドで勇名をとどろかせている大学で、デヴォンはこのマーチングバンドに入ると早速その天才的な頭角をあらわします。しかしデヴォンは自分の才能に思い上がるところがあり、なにかとトラブルを引き起こします。先輩からもにらまれ、やがて楽譜を読めないことが明るみになるなどして、ついにバンドから除名。窮地に立たされます。
ここからデヴォンが立ち直り、クライマックスに向かうわけですが、例によって未見の方のためにそのいきさつは述べません。ストーリーはいたってシンプルです。
アメリカの大学のマーチングバンドとは?
この映画の見どころは何といってもマーチングバンドのパフォーマンスです。ちょっと日本で想像するような大学のマーチングバンドとはレベルが全然違います。
演奏だけでなく、ステップや振り付けも凝っていて、それらが整然として一つにまとまっているのは、なんともいえない快感をもたらしてくれます。ライバル校との熱戦は、観ているほうも思わず手に汗を握ります。ドラムによるバトル、といった感じです。パフォーマンスに魅せられる映画ですから、ストーリーがありきたりであることがかえって功を奏しているのかもしれません。
ところでこの映画で描かれる、マーチングバンドの規律の厳しさは際立っています。起床時間が決められていたり、罰として腕立て伏せが課されたり、「どうしてこんなに軍隊調なんだろう?」と思う人もいるのではないでしょうか。じつはこれには、マーチングバンドの成り立ちが関係しているのです。
軍楽隊から始まったマーチングバンド
マーチングバンドは、もともとは軍隊の行進(march)の足並みと呼吸を合わせるためのものでした。日本語でいう「軍楽隊」です。アメリカの大学のマーチングバンドも、大学における士官養成課程(ROTCといいます)から発展しました。マーチングバンドの最も大きな魅力の一つが、一糸乱れぬ整然さにあるのは、こうした成り立ちがかかわっています。
そのため、この映画のマーチングバンドにも、厳しい規律やコスチュームなどに軍隊の名残をとどめているわけです。女子の割合が極端に少ないのも、このことと関係があるのかもしれません。1972年に教育における男女差別が法的に禁止されるまで、マーチングバンドは男子のみが参加するものだったようです。いまでも男子のマーチングバンド+女子のチアリーディングというのが一つのセットとしてとらえられています。ちなみにチアリーディングはアメリカの大学では女子スポーツの一種目です。
マーチングバンドの歴史を変えた黒人系大学
第二次世界大戦が終わってから、大学のマーチングバンドは軍楽一辺倒から、ジャズやポップなどのコンテンポラリー音楽を取り入れ、振り付けや人文字にも工夫も凝らすようになります。軍隊行進における正確さ・整然さに、エンターテインメントとして魅せる要素が加味されたわけです。このことに大きく寄与したのが、いわゆる黒人系大学です。
映画の舞台であるA & T Universityは、黒人系の大学として設定されています。A & T自体は架空の大学ですが、マーチングバンドの歴史的発展を考えると、この大学が黒人系大学であることには必然性があるわけです。
黒人系の大学は、一般にHBUCs(Historically Black University and Colleges)と呼ばれ、アメリカに100校ほどあります。そのほとんどが南部にあり、もともとは南北戦争で解放された黒人の子弟・子女のための大学として設立されました。いまでは黒人以外の人種も受け入れています。ジョージア州のSpelman CollegeやMorehouse Collegeなどは名門として知られています。
マーチングバンド最大の見せ場
現代のアメリカの大学のマーチングバンドの一番の見せ場は、フットボールの試合のハーフタイムです。NCAAのディビジョンⅠレベル(※)の試合には何万人もの観客が集まります。それだけの規模ですから、バンドのほうも当然力が入ります。観戦する人にとっては、試合はもちろん、マーチングバンドのパフォーマンスも大きな楽しみになっています。フィールドと観客席とが一体になって、いかにもアメリカのスポーツイベントらしく盛り上がります。
(※)NCAA:National Collegiate Athletic Associationの略で、大学のスポーツを運営・管理する組織。NCAAに属するチームはディビジョンⅠ~Ⅲまで三つのレベルに区分され、ディビジョンⅠが最も規模が大きくレベルも高い。
以下に紹介するのは、しばしば「全米ナンバー1」と評される、オハイオ州立大学のマーチングバンドのパフォーマンスです。これを見ると、相当の訓練を経ているだろうことがよくわかります。映画の中でデヴォンが気づくことでもありますが、たしかにだれか一人の才能が傑出しているだけではダメなんですね。
もしアメリカに留学してNCAAのフットボールを観戦する機会があったら、ぜひマーチングバンドのパフォーマンスにも注目してください!
勉強優先を忘れずに
最後に、この映画であまり描かれなかったことに触れておきます。アメリカの大学は、成績が悪いと部活に参加できません。この映画には、デヴォンが勉強している描写はほとんどありませんが、いくら天才ドラマーであっても、よい成績をキープしない限り、その才能を発揮する場が与えられません。きっとデヴォンはこの映画で描かれていないところで、ひそかに勉強に励んでいたのでしょう。この映画は先に述べたようにパフォーマンスが最大の見どころになっていますから、ストーリーはきわめてシンプルです。英語がわからなくても、日本語の字幕や吹き替えなしで十分に楽しめます。また最近のカレッジムービーの中ではめずらしく言葉づかいがきちんとしていて、むやみにスラングが飛び交うこともありませんので、アメリカ留学をめざす人にとってはカレッジムービーの初級映画としてもオススメできそうです。チャンスがあったらぜひご覧ください!
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投稿日:2016年09月20日(Tue)
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