白熱するアメリカ大統領選のテレビ討論会――その舞台が大学ってご存知でしたか?

みなさんこんにちは! アメリカ留学ラボのカイトです。このラボでは、アメリカ留学の夢を追う人のために、お役立ち情報やホットなニュースをお届けしています。

今回は、アメリカ大統領選と大学の深~い関係についてお話ししたいと思います。

ホフストラ大学の夜景


大統領選のカギを握るテレビ討論会


2016年のアメリカ大統領選挙がもうそこまで近づいてきました。世界中に話題を振りまいてきたヒラリー・クリントン候補とドナルド・トランプ候補の熱戦も、いよいよ決着のときを迎えます。

選挙戦が大詰めにさしかかってきたところで行われるのが、テレビ討論会です。これは両陣営による直接討論の場で、テレビ中継される公開イベントです。

アメリカの大統領選で最初のテレビ討論は、1960年にケネディ氏とニクソン氏の間で行われました。ケネディ氏の勝利を決定づけたのが、まさにこのテレビ討論だったといわれています。キャロライン・ケネディ駐日大使も「父の勝利はテレビのお陰……」と言っていましたね(10月20日読売新聞より)。

いまではテレビに加えてインターネットでも生中継されます。全世界が注目するビッグイベントです。


テレビ討論会の意外な舞台


ウィリアム・アンド・メアリー大学


全米・全世界が熱いまなざしを注ぐテレビ討論会。2016年の大統領選では、9月~10月にかけて3回行われました。3回ともに、その舞台となったのが、じつは大学のキャンパスだったことに、みなさんお気づきになったでしょうか?

アメリカの大統領選におけるテレビ討論会は、1976年にバージニア州のウィリアム・アンド・メアリー大学(College of William and Mary)で開催されて以来、大学キャンパスで行われるのが慣例になっています。劇場で行われたこともありますが、2012年と2016年の大統領選では、すべての討論会が大学で行われました。ちなみにウィリアム・アンド・メアリー大学は全米で2番目に長い歴史をもつ小さな州立大学で、トーマス・ジェファーソンをはじめ3人の大統領が学んだ名門大学です。


どうして大学がテレビ討論会の舞台になるのか?


セントルイス・ワシントン大学


大学がテレビ討論会の場を提供する理由の一つは、それが大きな宣伝効果になるからです。全世界のまなざしがその大学のキャンパスに注がれるわけですから、たった1日の、しかも90分に過ぎないイベントであっても、大学の名前をあまねく世に知らしめる絶好のチャンスになります。

さらに討論会を開催するためには、それなりの設備とセキュリティを備えていなければなりません。会場の面積や駐車場のキャパシティ、中継設備や宿泊施設といった、さまざまな条件をクリアすることで、テレビ討論会を開催できることになります。当然お金もかかります。これだけの条件をクリアできるのは、アメリカでは大学くらいしかないという一面もあるのです。

2016年の大統領選における2度目の討論会の舞台となったセントルイス・ワシントン大学(Washington University in St. Louis)がこの日のために費やしたお金は、じつに500万ドル(約5億円)といわれています。討論会を開催できるのは、財政的に豊かな大学に限られることになりますね……。


討論会の開催を断念する大学も……


討論会の会場が決まるまでには、公募と審査というプロセスがあります。2016年に候補にのぼったのは、16の大学です。

そして9月26日の討論会の舞台として、オハイオ州のライト州立大学(Wright State University)に白羽の矢があたりました。大学としてはとても名誉なことです。これが2015年9月のことでした。

しかし2016年の2月になって、討論会を開催するための予算が800万ドル(約8億円)にのぼることが試算されました。大学としても予想外の高額だったようです。一方で、この時点ですでに近隣のホテルは予約がいっぱいだったようで、地元の経済効果は3,000万ドル(約30億円)になると期待されていました。

しかし7月、つまり本番のわずか2か月前になって、大学は討論会の開催を断念することを表明。「お金が足りない」のと「セキュリティの確保がむずかしい」というのが理由でした。セキュリティのことでいえば、州立大学は「公のため」にあるので、キャンパスの出入りを制限できないという事情があったとのことです(以上cleveland.com/より)。

その代わりに開催地として選ばれたのが、ニューヨーク州のホフストラ大学(Hofstra University)です。すでに2008年と2012年にテレビ討論会を開催してきた実績があり、この変更に目立った混乱はなかったようです。ホフストラ大学はライト州立大学の学生を15人、討論会に招待しました。


テレビ討論会の会場となった大学とは?


ロングウッド大学


2016年の大統領選のテレビ討論会の日程と会場をまとめると以下の通りです。

9月26日 ホフストラ大学(ニューヨーク州)
10月9日 セントルイス・ワシントン大学(ミズーリ州)
10月19日 ネバダ大学ラスベガス校(ネバダ州)

また副大統領候補の討論会は1回だけ、10月4日に行われました。やはり開催地は大学で、バージニア州のロングウッド大学(Longwood University)が舞台になりました。


これらの大学を、簡単にご紹介しましょう。


ホフストラ大学(Hofstra University)

ニューヨーク州のロングアイランドにある私立大学です。1935年に創立され、学生数は約7,000人。大学院生は3,000人ほど在学しています。マンハッタンまで鉄道で40~50分ほどで出られます。大統領選のテレビ討論会を3回続けて開催したのはホフストラ大学が初めてです。ホフストラといえば「テレビ討論会」が連想されるくらい、大学の知名度と大統領選は深く結びついています。


セントルイス・ワシントン大学(Washington University in St. Louis)

1853年に創立された私立大学で、初代大統領のジョージ・ワシントンにちなんでその名前がついています。「中西部のハーバード」といわれるほどの名門大学で、メディカルスクール(医科大学院)がとくに有名です。学生数は約7,500人で、同じくらいの数の大学院生が学んでいます。これまで合計4回の討論会(大統領候補3回と副大統領候補1回)を開催してきた実績があり、今回が5回目ということになります。

日本で「ワシントン大学」というとシアトルにあるワシントン大学(University of Washington)が有名ですが、これはワシントン州の州立大学で、セントラル・ワシントン大学とはまったく関係がありません。アメリカには「ワシントン」と名のつく大学がけっこうたくさんあって、私たち日本人はちょっと混乱してしまいますね……。


あわせて読みたい関連ページ
【ワシントン大学ってどのヤツ?】9校あってわかりづらいからまとめました
(栄 陽子留学研究所のページにリンクしています)


ネバダ大学ラスベガス校(University of Nevada, Las Vegas)

「ギャンブルの町」として知られるラスベガスにある州立大学で、約24,000の大学生と5,000の大学院生をかかえるマンモス校です。1957年の創立で、観光ホスピタリティ学が有名です。ネバダ州は、共和党と民主党の支持が揺れ動く州(Swing State)で、大統領選においても両陣営のキャンペーンが盛んに行われます。


ロングウッド大学(Longwood University)

副大統領候補の討論会が行われたこの大学は、バージニア州の片田舎にある州立大学です。日本ではほとんど知られていないのではないでしょうか。アメリカでも、バージニア州を除いてはそんなに知られていないと思います。1839年の創立で、学生数は約4,500人。キャンパスは美しく、学生の7割ほどが寮生活を送っています。討論会の舞台として一躍、大学の名を世上にのぼらせた学長の手腕が話題になりましたが、じつはこの学長のお父さんとお祖父さんもアメリカの大学で学長を務めたことがあるそうです。


大統領選の投票も大学キャンパスで


ネバダ大学ラスベガス校


大統領選の結果はもうすぐです。いずれの結果になるにしろ、テレビ討論を開催した大学は、その名前を全米・全世界に知らしめることに成功したといえるでしょう。ホフストラ大学で行われた第1回目の討論会の視聴者数は、8,000万にものぼったそうです。このパブリシティの効果は、ちょっと計り知れません。

現在アメリカの大学に留学中の人にとっては、世界が注目するイベントを間近に見られること自体が貴重な体験になりますね。アメリカの大統領選では一般投票が行われますから、大学のキャンパス内に投票所が設けられることになります。こんな光景を目の当たりにするのもまた、留学生にとっては新鮮な経験になることと思います。留学の醍醐味は、いろいろとあるものですね。


今回のテレビ討論会の舞台となった大学について詳しく知りたい人は、ぜひ「アメリカ大学ランキング」で各大学のデータをチェックしてみてください!(大学名をクリックすると、その大学の詳細なデータを見ることができます)

【大統領候補のテレビ討論会が行われた大学】
 ・ホフストラ大学
 ・セントルイス・ワシントン大学
 ・ネバダ大学ラスベガス校

【副大統領候補のテレビ討論会が行われた大学】
 ・ロングウッド大学

【……惜しくも開催を断念した大学】
 ・ライト州立大学
資料請求
【あわせて読みたい関連記事(現在は最新記事のみ最大5件載せています)】

前のエントリトップページに戻る次のエントリ

留学のご相談は、こちらからお問い合わせください
電話 東京03-3224-0777 電話 大阪06-147-6950
月曜日~土曜日 10:00~18:00 ※木・日曜日及び祝日はお休みです。
留学相談 資料請求
留学のご相談は、こちらからお問い合わせください
電話 東京03-3224-0777 電話 大阪06-147-6950
月曜日~土曜日 10:00~18:00 ※木・日曜日及び祝日はお休みです。
留学相談 資料請求


4/27

しっかり分かる

留学講演会

>

まずは

資料請求

>

留学講演会

資料請求