アメリカで最も有名な大学ランキング US News & Worldの“Best Colleges”(第3回)

みなさんこんにちは!
今回の「アメリカ留学ラボ」では、前回・前々回に引き続いて、アメリカで最もポピュラーな大学ランキング:US Newsの“Best Colleges”についてお話しします。

前々回ではこのランキングの全体的なあらましをご紹介し、前回はどのようにしてUS Newsが全米の大学をランク付けしているのか、その方法について解説しました。今回は、全米で最もポピュラーな、そしてインパクトのあるこの大学ランキングに対する、さまざまな反応や批判をとりあげて、ランキングのありかたについて考えてみたいと思います。


なぜUS Newsはアメリカの大学をランク付けしているのか?


そもそもUS Newsがどうして全米の大学をランク付けしているのかというと、US Newsによれば、
大学に進学するにはとてもお金がかかる

進学先は慎重に選ばなければならない

そのためには複数の大学をしっかり比較して検討しなければならない

複数の大学を比較検討するためには、個々の大学についてたくさんの情報が必要である

その情報を提供するため
だということです。

大学選びのため、あるいは大学を比べるために各大学の詳細なデータが必要であるとしても、だからランキングが必要であるというには、ちょっと説得力に乏しいかもしれませんね。ただ確実にいえることは、このランキングによって、良きにつけ悪しきにつけ、議論を巻き起こしていることにおいては、US Newsは大きな成功を収めています。



大学ランキングのインパクト


ところが話題性が豊富であることが、単なる話題としてとどまらない事態を招いているとしたら、果たしてどうでしょうか?

ある大学は「○年までに、US Newsの大学ランキングで○位以内に入ること」を、大学の公式の目標として掲げています。前回の記事に、このランキングの指標の一つとして「教員の手当」があることを述べましたが、US Newsのランキングで上位になるために、先生のお給料を増やした大学もあります。

またUS Newsがランキング集計のために、毎年、各大学に調査票を送付していて、その回収率が9割を超すことも前回にお話ししましたが、これは大学がUS Newsに対して協力的であるというよりも、むしろ「ライバル大学が調査票を提出しているのだから、我が大学もそうしなければならない」という、いわゆる「ピア・プレッシャー」(仲間同士の圧力)がはたらいているだろうことが予想されます。

加えて、US Newsに提出する調査票に、虚偽のデータを記入した大学の例もあります。これが暴かれれば大学にとって大きなダメージになるはずですが、そのリスクを負ってまで、US Newsのランキングを重視しているということの現れかもしれません。


他大学評価のむずかしさ


US Newsが大学をランク付けするにあたっては、各大学が提出する調査票に加えて、その大学と同じカテゴリー内にある他大学の学長などからの評価も考慮しています。評価する側からすれば、ライバル大学について評価しなければならない場合もありますから、情報の客観性がどうしても問われてしまいます。自分の大学をよく見せるために、他大学を不当に低く評価したという例もあります。

この評価の回答率は42%に過ぎず、各大学が自分の大学について記入するデータの提出率(91.5%)に比べると、かなり低いものになっています。



そもそも国立でも州立でもなく、私立から始まったアメリカの大学は、それぞれの大学のインディペンデント精神が強く、大学が各々にユニークな個性と強みを生かして成り立ってきました。
(関連情報:「アメリカの大学の成り立ち」)
http://ryugaku.ne.jp/knowledge/uscollege_origin.html

それが、いつしかUS Newsのランキングに対して戦々恐々とするような大学まで出てきてしまったとすれば、やはり単に「話題性が豊富な」大学ランキングとして片づけていいものかどうか――。当然、さまざまな批判が巻き上がることになります。


大学ランキングに対する批判


US Newsの大学ランキングに対して、果敢に反発した大学として知られるのが、オレゴン州のReed Collegeです。西部きっての名門リベラルアーツ・カレッジですが、1995年にUS Newsへの調査票の提出を拒否して、いまに至っています。

Reed Collegeに続いて、名門スタンフォード大学も一時US Newsへの協力を拒否するなどして、ニュースになりました。ユニークな教育方法をとりいれているSt. John’s Collegeも、ランキングに対して反対の姿勢をとっています。US Newsのランキング調査に対するボイコットを呼びかける動きも、しばしば見られます。

これらの批判の理由はさまざまですが、おおむね以下の二つのポイントに集約できそうです。

まず、そもそも個性豊かなアメリカの大学を、数字で順位付けすることはできないという、<ランキングの不可能性>です。

もう一つが、ランキングの指標となるデータはいくらでも改ざんされる可能性があるという、<データの不確かさ>です。


ランキングが学費高騰を招いている?


いまひとつ、US Newsのランキングに対する批判の根拠を加えると、お金との関係があります。「良質の教育を受けるためにはお金がかかる」というのは、アメリカの通念としてありますが、US Newsで上位にランクされる大学は、だいたい財源がたっぷりある裕福な大学です。これらの大学は学費もずば抜けて高い傾向にあります。

US Newsのランク付けの指標の一つとして「合格率」があります。合格率が低いほど、ランクは上がるのです。そこでライバル大学よりも上位にランクされるために、あえて合格者の数を減らすという現象も起きてきます。しかし合格者を減らすことによって、学生からの授業料というかたちでの収入が減ってしまいますから、いきおい、一人当たりの学費を値上げせざるを得ないということになります。

これは些細なケースかもしれませんが、US Newsのランキングと、アメリカの大学の学費の高騰との因果関係はさまざまに指摘されています。

さらにUS Newsによる順位は、その大学への出願者の数に影響するといわれています。US Newsのほうにその気はないとしても、結果的には、大学同士の競争心をあおっている面があることは、否定できません。US Newsに代わる新たな、より妥当性のある大学ランキングもつねに模索され、提案されています。



ポピュラーだからこそ批判も絶えない


どうやらマイナス面ばかりをあげつらってしまいましたが、US Newsの大学ランキングがこれだけの批判を引き起こすのも、それがきわめてポピュラーで、インパクトのあるランキングだからです。「ランキング好き」なのはアメリカ人も日本人も変わらないのかもしれません。いろいろ批判はあるものの、やっぱり発表されれば気になってしまうというところでしょうか。

US Newsからすれば、批判されるのはむしろ話題性が高まるということで歓迎しているのかもしれません。2014年には「世界大学ランキング」を発表して、大学ランキングの第一人者としての存在をアピールしています。


今回の「アメリカ留学カフェ」では、US Newsの大学ランキングに対する、さまざまな反応と批判についてお話ししました。毎秋、発表されるたびにワァッと盛り上がるUS Newsの“Best Colleges”ですが、次回は、このランキングを、いかにアメリカ留学における志望校選びに活用すればよいのか、考えてみたいと思います。See you soon!

参考資料:US News College Rankings:Best Colleges 2015
(http://colleges.usnews.rankingsandreviews.com/best-colleges?int=994d08)
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