コミュニティ・カレッジ選びのポイント

コミュニティ・カレッジは全米に約1,200校あります。その中から自分に適した留学先を選び出すのはなかなかたいへんな作業です。とはいえ一部の留学エージェントが提携しているコミュニティ・カレッジに最初から志望校を限定するのが望ましいとはいえません。少なくとも2年間は学ぶことになるわけですから、志望校はやはり、自分自身でしっかりリサーチして、納得したうえで選ぶべきです。ここではコミュニティ・カレッジ選びのポイントをいくつか紹介します。

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コミュニティ・カレッジ選びのポイント もくじ

 1. コミュニティ・カレッジ選びのポイント①:寮がある
 2. コミュニティ・カレッジ選びのポイント②:人種構成のバランスがとれている
 3. コミュニティ・カレッジ選びのポイント③:学生の年齢が低い
 4. コミュニティ・カレッジ選びのポイント④:カリキュラムがしっかりしている
 5. コミュニティ・カレッジ選びのポイント⑤:規模が小さい
 6. コミュニティ・カレッジ選びのポイント⑥:大都市から離れたところに位置する
 7. コミュニティ・カレッジ選びのポイント⑦:認定されていること
 8. コミュニティ・カレッジのランキング
 9. コミュニティ・カレッジに向いている人


コミュニティ・カレッジ選びのポイント①:寮がある

長期間のアメリカ留学をする場合、滞在先としては寮を選ぶのがよいでしょう。アパートやホームステイの場合、通学が不便になりますし、自動車の購入・維持や外食などで、予想外の費用がかかります。

寮に暮らすかぎり、キャンパス内の食堂で1日3食がまかなわれますし、教室と図書館、運動場と寮の部屋を行き来するだけで生活が完結しますから、余計な費用がかかりません。

いまやロサンゼルスやニューヨークなど都心部のアパートは東京よりも家賃が高いのが実情です。ホームステイも月に900~1,200ドルくらいかかります。学業からも遠ざかりがちで、日本人同士がかたまって外食をしたり遊びにでかけたりといった生活に明け暮れてしまう例もたくさんあります。

アメリカの大学は、毎回の授業にきちんと出席することが前提で成績がつき、単位を得ます。授業のたびに、次回の授業までの課題が出されます。「勉強中心」の日々を送るのがアメリカの大学生活です。

そんな勉強中心の生活を送り、また余計な出費を抑えるためにも、留学先としては寮の設備を整えたコミュニティ・カレッジが適しています。

とはいえ、ほとんどのコミュニティ・カレッジは地元の人の通学の便を考慮してつくられていますから、寮を備えていません。寮のあるコミュニティ・カレッジは、カンザス州やアイオワ州、ワイオミング州やテキサス州などに見られます。

コミュニティ・カレッジ選びのポイント②:人種構成のバランスがとれている

コミュニティ・カレッジには、人種的マイノリティ(白人以外)の学生がたくさん学んでいます。コミュニティ・カレッジの学生の4割が人種的マイノリティだといわれています。

また、特定の人種を対象としているコミュニティ・カレッジもあります。西部や南部にはヒスパニック系の人を対象としているコミュニティ・カレッジがたくさんありますし、ネイティブアメリカンの保護区やその近辺には、ネイティブアメリカンへの教育に特に力を入れているコミュニティ・カレッジもあります。

留学生にとっては、ある一つの人種に特化したコミュニティ・カレッジは、ちょっと馴染みにくいかもしれません。その人種に特有の歴史や文化、価値観に対する深い理解と共感が欠かせないからです。

学生の人種がバラエティに富んでいることは、日本の大学には見られないアメリカの大学の特徴であり、アメリカ留学の醍醐味でもあります。あまり偏りのないところを選ぶようにしましょう。

コミュニティ・カレッジ選びのポイント③:学生の年齢が低い

コミュニティ・カレッジには、すでに社会人として働いている人がたくさん学んでいますので、学生の年齢も高く、全米平均で28.5歳です。

学生の平均年齢がそれよりもあまりに高いコミュニティ・カレッジには、日本の高校を卒業したばかりの18歳くらいの留学生にとっては、やや溶け込みにくいかもしれません。やはりできるだけ同年代の学生がたくさん学んでいるコミュニティ・カレッジのほうが留学先としては適しています。

コミュニティ・カレッジ選びのポイント④:カリキュラムがしっかりしている

コミュニティ・カレッジのカリキュラムは、大きく分けて〔進学コース〕と〔職業訓練コース〕とがあります。このうちとくに〔進学コース〕がきちんと整っているコミュニティ・カレッジが、留学先として適しています。

〔進学コース〕を修了すると、準学士号(Associate Degree)を得られますので、このコースのことを英語でAssociate Degree Programといいます。准学士号のうち、文系一般の学位をAssociate of Arts(A.A.)、理数系一般の学位をAssociate of Science(A.S.)といいますが、だいたいどのコミュニティ・カレッジでも、A.A.とA.S.の両方のカリキュラムを設けています。

個々の大学のホームページでこれらのカリキュラムを調べて、大学レベルの科目が一般教養全般にわたって設けられていることと、可能であれば、〔進学コース〕を終えた人の四年制大学への編入率をチェックしてみましょう。

「学習サポート」の内容もチェックしておきたいポイントです。たとえば、

  • ・無料でチューター(補講講師)を手配してくれるか
  • ・留学生への英語のサポートはあるか
  • ・四年制大学への編入の指導(ガイダンス)を得られるか
といったことです。

コミュニティ・カレッジ選びのポイント⑤:規模が小さい

アメリカの大学の「規模」とは在学生数のことをいいます。コミュニティ・カレッジは四年制大学に比べると、おおむね規模の小さいところが多く、約3割が学生数2,500人以下の小規模大学です(US Newsによる)。

学生数別のコミュニティ・カレッジの数の割合
学生数 コミュニティ・カレッジの数の割合(※)
2,500人以下 29.8%
2,501人~5,000人 23.5%
5,001人~10,000人 24.7%
10,001人~20,000人 16.2%
20,001人~50,000人 5.2%
50,001人~100,000人 0.5%

(※US Newsが調査した950校のうち)


留学生にとって学びやすいのは、規模の小さな大学です。そのほうが自分の名前と顔をすぐに覚えてもらえるので、教授やスタッフからサポートを得やすく、友達もつくりやすいからです。また1クラスの人数も少ないので、質問するチャンスも多く、わからないことは授業中に解決できます。

大都市にはかなり規模の大きなコミュニティ・カレッジもあります。ニューヨーク州のLaGuardia Community Collegeは5万人、フロリダ州のMiami Dade Collegeは15万人以上の学生を抱えています。これほどの規模になると、個人ベースの親身な指導やサポートは期待できません。日本の高校を卒業したばかりの人にとっての留学先としては、適しているといえないでしょう。

コミュニティ・カレッジ選びのポイント⑥:大都市から離れたところに位置する

コミュニティ・カレッジは、基本的にその地域の人が「通学できる」ところにつくられていますから、それなりに人口の大きな町に位置しています。

とはいえ勉強中心の生活を送るのであれば、都心から離れたところに位置するコミュニティ・カレッジのほうが適しています。都会にはどうしても誘惑が多く、勉強から離れがちになってしまうからです。

さらに都会にあるコミュニティ・カレッジは寮を整えていない場合がほとんどですので、アパートを借りるかホームステイをしなければなりません。家賃や外食など、東京都心で一人暮らしをするのと大差ないほどにお金がかかります。

できるだけ都心から離れたところのコミュニティ・カレッジで寮生活を送ること、これが最も学業生活に専念でき、さらに不要な出費を抑えられる留学のありかたです。

コミュニティ・カレッジ選びのポイント⑦:認定されている

アメリカにはコミュニティ・カレッジが1,200校ほどあります。しかし「1,800校ある」とか「2,000校ある」としているWEBサイトや情報本もあります。

この数の差は、「そのコミュニティ・カレッジが認定されているかどうか」が影響しています。1,800とか2,000という数になるのは、「認定されていない」コミュニティ・カレッジを含むからです。

アメリカでは、個々の大学を「大学として認める」のは、政府(教育省)ではありません。全米を六つの地域ごとに管轄する「地域認定団体」がそれぞれの地域ごとに、個々の大学を審査して、大学として認定しています。この「地域認定」のことを英語でregional accreditationといいます。

この地域認定団体に認定されてないコミュニティ・カレッジも、アメリカには少なからず存在します。認定されていないコミュニティ・カレッジは、大学レベルの教育を提供していないと見なされますので、別の大学に編入する際に単位が認められないといった障害が生じます。めざすコミュニティ・カレッジが以下の地域認定団体に認定されていることは、まず基本的なこととして、個々の大学のホームページなどで確認しておきましょう。

地域認定団体と管轄する州
地域認定団体 管轄する州
Middle States Association of Colleges and Schools デラウェア州、ワシントンDC、メリーランド州、ニュージャージー州、ペンシルバニア州
New England Association of Schools and Colleges コネチカット州、メイン州、マサチューセッツ州、ニューハンプシャー州、ロードアイランド州、バーモント州
North Central Association of Colleges and Schools アリゾナ州、アーカンソー州、コロラド州、イリノイ州、インディアナ州、アイオワ州、カンザス州、ミシガン州、ミネソタ州、ミズーリ州、ネブラスカ州、ニューメキシコア集、ノースダコタ州、オハイオ州、オクラホマ州、サウスダコタ州、ウェストバージニア州、ウィスコンシン州、ワイオミング州
Northwest Commission on Colleges and Universities アラスカ州、アイダホ州、モンタナ州、ネヴァダ州、オレゴン州、ユタ州、ワシントン州
Southern Association of Colleges and Schools アラバマ州、フロリダ州、ジョージア州、ケンタッキー州、ルイジアナ州、ミシシッピ州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、テネシー州、テキサス州、バージニア州
Western Association of Schools and Colleges カリフォルニア州、ハワイ州

コミュニティ・カレッジのランキング

コミュニティ・カレッジは、望めばだれでも学べる大学ですから、いわゆる「名門大学」とか「レベルの高い大学」は存在しません。〔進学コース〕であっても、大学レベルの基礎的なことは学べますが、四年制大学の専攻課程に比べてよりすぐれているということはありません。

「コミュニティ・カレッジのランキング」というものも、そもそも存在するはずはありませんが、さまざまな指標から全米のコミュニティ・カレッジをランク付けしているWEBサイトはいくつかあります。

ただしこれらのWEBサイトの指標は、地元の人の就職率に重きを置いていることが多く、アメリカ留学を考えている人の志望校選びには適さない場合がほとんどです。コミュニティ・カレッジには、あらゆる年齢層・人種・学力の人が学んでいます。そのバラエティの豊かさを考えると、個々のコミュニティ・カレッジを比べて優劣を決めつけることは、なかなかできません。

全米に1,200校もあるコミュニティ・カレッジの中から自分に適した大学を見つけ出すのは、それほど簡単なことではありませんが、これまでに述べたポイントを参考にして、またプロの進路指導を受けながら、ランキングにこだわらずに、自分自身が充実した留学生活を送れる大学を探すようにしましょう。

コミュニティ・カレッジに向いている人

コミュニティ・カレッジは、なによりも費用が安いという理由で、留学先として魅力を感じる人がたくさんいると思います。しかしコミュニティ・カレッジの学生の多くは、すでに自活している大人たちです。そうである以上、コミュニティ・カレッジも、そのように自己責任力をもつ大人であることを前提として学生に接します。したがって、コミュニティ・カレッジへの留学をめざす人には、自立心が高く、自らの問題は自らの手で解決していこうという積極性と行動力が求められます。

このようなことを理解したうえで、留学先のコミュニティ・カレッジをしっかり厳選すれば、費用的なメリットを十分に生かしながら四年制大学へのステップアップも可能になるでしょう。

留学を成功させるコミュニティ・カレッジ選びのためには

上記に挙げたポイントや、ランキングを元に、学校の情報を丁寧に見ていきましょう。 また、その大学に行ったことのある人の話などを参考にするのも一つの手段ですが、一校だけ知っている人の情報は偏っていることもあります。また、留学エージェントの情報では、大学の斡旋が目的のため悪い点について知れない可能性もあります。

相談は、多くの情報や留学例を知っていて、公平な話をしてくれる、教育的な留学相談の専門機関にすることをおすすめします。

栄 陽子留学研究所の留学サービス(外部リンク):
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