基準が変われば順位も変わる―― 留学生にとって大学ランキングが意味するものとは?

みなさんこんにちは! アメリカ留学ラボのカイトです。このラボでは、アメリカの大学への留学を志している方のために、お役立ち情報や最新ニュースなどをお届けしています。

早速ですが、みなさんは以下の折れ線グラフが何を示しているかおわかりになりますか? ヒントは「大学ランキング」です。



すでにアメリカ留学を心に決めている人にはピンとこないかもしれませんね。

これはじつは、「タイムス・ハイヤー・エデュケーション(THE)」というイギリスの情報誌が発表している<世界大学ランキング>における、東京大学の順位の推移です。


100位以内は東大と京大のみ


THEは2004年から毎秋このランキングを発表していて、上海交通大学の「世界大学学術ランキング」と、クアクアレリ・シモンズ(QS)というイギリスの教育企業が発表しているランキングと共に、「世界3大大学ランキング」の一つとされています。

それだけにこのランキングのインパクトは大きく、日本のメディアでもしばしばとりあげられています。

上のグラフを見れば東大の順位が2007年からゆるやかに下降して、いくらか盛り返してきたところで2015年にガクンと落ちたことがわかります。アジアの大学としては1位を保ち続けてきたものの、2015年はついにシンガポール国立大学と北京大学に抜かれてしまいました。

ちなみに日本の大学で100位内にランクインしたのは東大と京大のみ。京大も2014年の59位から88位へと大きく順位を落としています。

日本の最高学府の頂点:東京大学
(photo by Wiiii/Wikimedia Commons)


世界ランクが落ちたのはだれのせい?


この順位の大きな下落は、THEの大学に対する評価基準が変わったことにあるともいわれます。またTHEのランキングでは、英米のリサーチ重点型大学が優位になりがちになるのもたしかです。参考までに1~5位は順にカリフォルニア工科大学、オクスフォード大学、スタンフォード大学、ケンブリッジ大学、マサチューセッツ工科大学で、英米勢が占めています。

とはいえ、「グローバル化」とか「世界競争力の強化」とかいったスローガンが声高に叫ばれていながら、日本の大学の頂点に立つ(?)大学が、まさに国際的な評価を下げているとなると、やっぱり問題視せずにはいられない立場の人もいるわけで、とくに文科省への批判は絶えません。

文科省は昨年に「スーパーグローバル大学」を採択して、世界大学ランキングで100位以内をめざす大学への支援を強化しているところですから、THEの順位に最もやきもきしているのは、ひょっとすると文科省とスーパーグローバル大学の人たちかもしれませんね。

教育への取り組みの成果が1年や2年で出るはずもないので、ランキングをもちだして文科省や大学を責めるのはちょっと筋違いとしても、文科省のグローバル戦略がいかにも迷走しているように見えるのは否めないようです。

東大と双璧をなす京都大学
(photo by Soraie8288/Wikimedia Commons)


基準が違えば大学ランクも変わる


それはともかく、ひとまずここで強調しておきたいのは、どの大学ランキングあっても、評価基準が違えばその順位も異なる、というごく当たり前のことです。

その一例が、『週刊ダイヤモンド』(11月7日号)が発表した、日本の「最強大学ランキング」。これは「世界で活躍できる人材を育成する教育体制の実績、世界に通じる研究の実績、グローバル企業への就職実績から総合順位を算出した」(DIAMOND ONLINEより)大学ランキングです。

「いかに世界に通じるか」に重点を置いているという点に特徴があるわけですが、このランキングで1位に輝いたのは東京工業大学です。東大は7位、京大は3位でした。THEを含む世界大学ランキングでは評価されることの少ない国際教養大学が4位に食い込んでいます。

「最強大学ランキング」では東大より上位の国際教養大学
(photo by 掬茶/Wikimedia Commons)


大卒者の年収によるアメリカ大学ランキング


もう一つ例を挙げましょう。イギリスのEconomistという新聞が発表したアメリカの大学ランキングで、その基準はいたってシンプルです。

入学時のSAT®(大学進学適性テスト。詳しくはコチラ)のスコア・人種構成・男女比・大学の規模・州立/私立といった属性から、その大学の標準的な学生像を造り、その学生が得られるだろう年収の平均に比べて、実際の卒業生がどれだけ多く(あるいは少なく)収入を得ているか、を基準としています。いってみれば、「卒業生の年収<偏差値>」によって大学をランク付けしているわけです。

このランキングによれば、1位は名門リベラルアーツ・カレッジのワシントン&リー大学、2位がビジネス系の名門バブソン大学でした。ハーバードは4位でしたが、ハーバードの永遠のライバルともいえるイェール大学はなんと1270位です!

これにはあまりにも首をかしげたくなりますが、上述の基準にのっとると、こういう順位になってしまうのです。つまりイェールの典型的な学生が得られるだろう平均収入の額がそもそも高すぎて、実際の卒業生の年収がそれに比べると低いことが順位を決めているというわけです。

それではこのランキングが、入学志願者の増減に結びつくかというと、おそらく結びつきません。「Economistのランキングで1位だから」という理由でワシントン&リー大学を選ぶ高校生がいるとは思えません。もともときわめて優秀なリベラルアーツ・カレッジですし、この大学を選ぶ理由はすでにありすぎるほどあるからです。逆に順位が1270位だからイェールに行くのをやめた、なんていう人もまずいないでしょう。

Economistのランキングで1位に輝いたワシントン&リー大学


アメリカ留学と大学ランキング


アメリカ留学を志す人の中には、大学選びの際にランキングを参照する人も多いと思います。たしかにランキング自体は、大学リサーチの一つの手がかりになるものです。しかし、いまや「大学ランキング」と呼ばれるものはアメリカでも乱立している状態です。それぞれがそれぞれの判断基準で大学をランク付けしていますから、かえって混乱しかねません。あくまで参考程度にとどめておくべきでしょう。

というわけで、今回の「アメリカ留学ラボ」では大学ランキングについて取り上げてみました。

じつはアメリカ政府は、「民間の大学ランキングが大学間の競争をあおり、それが学費の高騰を招いている」として、「政府公認の大学ランキングを発表するぞ!」と息巻いていましたが、それは実りませんでした。その代わり、「大学の採点表(College Scorecard)」なるWEBサイトを立ち上げています。これを布石として、いずれ本当に政府公認の大学ランキングが誕生するかもしれません。この採点表については、またいつかご紹介したいと思います。お楽しみに!

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